研究課題
基盤研究(C)
本研究は、イラクを事例に、ポスト紛争期にみられる国民形成のプロセスを動態的・包括的に明らかにすることを目的とする。そのために、「多くの人々が国家を信頼せず、相対化しているにもかかわらず、強いナショナリズムを表明するのはなぜか」という問題を解明する。この問いに答えるために、①国家建設の頓挫と信頼喪失のプロセス、②国民統合政策の変化、③トランスナショナルなアクターとネットワークの役割の3点を順に明らかにする。手法は、地域研究(質的調査)と世論調査の計量分析(量的調査)を組み合わせる。
中東政治、比較政治
ポスト冷戦期に多発した内戦などの紛争の結果、国民形成(nation building)が極めて重要な課題となるケースがみられるようになった。その典型例が、本研究が対象とするイラクである。イラクで紛争が継続しているにもかかわらず、国家や社会が崩壊しない要因を、様々な観点から分析することは、グローバルに広がる紛争とその後の国家建設、国民形成がいかにして軟着陸するかを考えるために、ひいては平和構築をさらに進めるために、きわめて重要な課題である。