研究課題
本研究は、福島原発事故後の被災地域において、住民自らが放射線測定に関わり状況を把握していった事例を「住民参加型リスクアセスメント」とし、その活動 の展開と広がりを質的研究の手法で検討するものである。初年度実施した予備的調査をもとに、二年目はより詳細なin-depthインタビューを行った。三年目は南 相馬市のNPO団体を共同をして訪問調査を行い、避難指示解除後の地域の課題の整理と、それに対するNPOの役割について分析を進めた。分析はテキストマイニン グの手法を用いて、質的なデータを定量的に分析を行った。その結果、1)では、避難の長期化、意欲の低下、後継者不足と先行き不安、コミュニティの分離(住民間の意識の違い)、除染後の農地への不安・不満等の心 理社会的な要因が挙げられた。NPの活動からは、は一般論(県や市町村のデータ)ではなく、自分たちの生活環境の詳細なデータを知りたいという動機があった こと、放射線の一般的な知識ではなくコミュニテイの課題(営農再開や地産地消の復活)を解決するための活動であったことが特徴的だった。それを可能とする 要因として、ソフトスキルの高い人の存在、チームの存在(リーダーシップ、企画・統率、行政や専門家とのネットワーク)、フェイズに応じた柔軟な対応を行 なっていることが挙げられた。得られた成果をNPOにフィードバックするとともに、災害状況下での市民活動の役割についても考察を進めた。COVID-19パンデミックの影響に伴い、研究期間を1年間延長し、論文化と学会発表を継続して行った。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (5件)
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