インド人仏教徒と亡命チベット人の協働連携の歴史的経緯を整理することができた。チベット人が大量にインドに流入した1960年代から、インドにはチベット難民を受け入れ支援する体制が存在した。 喫緊の難民受け入れに目途がついたとされる1970年代以降、印中の外交問題もあって両者の交流は量や質の面から相対的に減少するが、1990年代ごろからインド人仏教徒からの接近や、亡命チベット政府を中心とするインド・チベット支援グループ活動の活性化を通じて、民間レベルでの人的交流を活性化させるようになってきた。この時の連携の旗印となるのは、「ヒマラヤの保全(安全保障と環境)」と「チベットの伝統・文化の保守」である。
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