研究課題
基盤研究(C)
本研究は、農村における最も深刻な環境問題である水質汚染問題をケース・スタディとして、GDPによる地方官僚の昇進システム、汚染水を排出する郷鎮企業主と地方官僚との癒着、耐えられない農民の「環境抗議行動」などの様々な混乱が生じている社会環境メカニズムを政治体制から分析して、現代中国における環境問題を「権威主義体制」下の社会構造と環境ガバナンスから明らかにしてみる。研究成果として、論文26点(単著24点、共著2点)、著書5点(単著1点、共著4点)、国際シンポジウムで研究発表2回である。
水利環境と政治体制
中国における水環境保護の政策決定と執行を研究する際に、権威主義体制の視点から分析することは、非常に有効であると認められる。政策執行のプロセスにおける「複雑」と「運動」の面から、権威主義体制の分断性、新しいアクターの登場の必要性及び権威主義体制の分散性の特徴を裏付けることができる。また、大衆運動式の政策執行の手法の粗野さは免れがたい。したがって、中国における水環境を根本的に改善するためには、政治体制面の改革が必要であると考える。