研究課題/領域番号 |
18K11787
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
井関 正久 中央大学, 法学部, 教授 (20343105)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ドイツ抗議運動 / 68年運動 / 旧東ドイツ市民運動 / 右翼ポピュリズム |
研究実績の概要 |
本研究はドイツにおける左翼と右翼の抗議スタイルの変遷とその過程で生じた両陣営間の相互作用、および運動の社会への影響という問題について、新左翼系抗議運動の出発点と位置づけられる68年運動まで遡り、現在のSNSを駆使した新しいタイプの抗議運動までを視野に入れて、実証的に取り組むものである。本研究は従来の左翼運動中心の社会運動研究にはなかった新たな視点を与えるものになると期待できる。 2020年度はコロナ禍のため、追加資料収集のためのドイツ渡航ができなかったが、国内においてインターネットを駆使しながら、文献および最新情報の収集をおこない、研究をさらに進めた。 これまでの成果としては、東ドイツ地域の市民運動および1989年「平和革命」をめぐる論争についてまとめた論文「東ドイツの1989年を再考する」が、石田勇治/川喜田敦子/平松英人/辻英史編『ドイツ市民社会の史的展開』(勉誠出版2020年)に掲載されたほか、ドイツ政府のコロナ対策に対する最新の抗議運動について考察した論考「コロナ禍とポピュリズム ― ドイツの場合」が、中央大学通信教育部編『白門』第72巻秋号に掲載された。 さらに社会運動と市民社会という視点からの日独社会の比較分析をテーマに、「Problems of Translating Culture-Bound Terms in Social Sciences(社会科学における文化的ターム翻訳の諸問題)」というタイトルで、2021年1月10日にオンライン開催された東京大学の国際シンポジウム「Knowledge on the Move: Connectivities, Frontiers, Translations in Asia(動く知識―アジアにおける接続性、フロンティア、翻訳)」において英語で研究発表をおこなうとともに、数多くの研究者と同テーマについて議論を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際的なコロナ禍によって、当初予定していた追加資料収集のためのドイツへの研究旅行が実現できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、国際的なコロナ禍の状況が改善され次第、ドイツに渡航し、ハンブルク社会研究所資料館などで追加資料を収集する予定である。その一方で、コロナ禍が長引く、あるいは収束しない場合に備えて、引き続き国内においてインターネットを駆使しながら、最新情報および文献・資料の収集をおこなっていく。 そして、これまでの研究成果として、現在執筆中である運動家ルディ・ドゥチュケに関する単著、および、コロナ禍も含めたドイツにおける最新の抗議運動に関する論文を完成させ、出版ないし投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際的なコロナ禍によって追加資料収集のためのドイツへの研究旅行が実現できなかったため、次年度使用額が生じた。おもに追加資料収集のための研究旅費や、図書・雑誌・消耗品の購入費に使用する予定である。
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