研究課題/領域番号 |
18K11802
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
朴 仁哲 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (90752717)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 朝鮮人「満洲」移民 / 「満洲」 / 朝鮮半島 / 移住要因 / 移住動態 / 移民母村 / 「集団部落」 / 東アジアの記憶の場 |
研究実績の概要 |
今年度の研究キーワードを「移民母村」と「東アジアの記憶の場」と定め、研究を進めた。2019年4月に長野県でフィールドワークを行い、「満洲」移民を送り出した最初の「移民母村」であるかてつの大日向村(現在の佐久穂町)を訪ねた。合わせて長野県飯田市の阿智村内に開設している満蒙開拓記念館を訪ねて資料収集を行った。5月には韓国南部の慶尚道の「移民母村」に該当する地域でフィールドワークを行った。今回、2つの地域を訪ねた。1カ所目は慶尚北道亀尾市善山邑の江亭里地域で、2か所目は慶尚北道永川市大昌面地域である。慶尚北道に行く前に、仁川広域市に開設している韓国移民史博物館を訪ねて資料収集を行った。8月には中国の大連と延辺朝鮮族自治区でフィールドワークを実施した。大連では歴史研究家で、中国オーラルヒストリー研究の第一人者の斉紅深さんを訪ね、オーラルヒストリーについて意見交換をし、アドバイスを受けた。また、斉紅深さんの同席のもと、戦前世代の2人の中国人・漢族にインタビュを実施した。延辺朝鮮族自治区では、ドキュメンタリー写真家の李光平さんの同伴のもと、「集団部落」体験をした2人の戦前世代の朝鮮族にインタビューを実施した。そして、複数の「集団部落」跡地を訪ねた。調査結果を踏まえて研究報告を2回した。①「東アジアの記憶の場の探求――朝鮮人『満洲』移民研究のフィールドからの問いかけーー」(日本平和学会、2019年11月2日、新潟県立大学にて)②「連動する東アジアと朝鮮人『満洲』移民――東アジアの記憶の場を訪ねるフィールドワークを手掛かりに――」(精神構造研究会、2020年2月22、社会理論・動態研究所にて)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目にあたる今年度は、おおむね研究実施計画に沿い、フィールドワークを実施し、研究を進めることができた。ただし、新型コロナの感染が拡大しているため、2020年3月に予定した中国でのフィールドワークの実施は見送った。
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今後の研究の推進方策 |
3年目では下記の研究計画を立てて研究を進めていく。新型コロナが終息したら、中国と韓国でのフィールドワークを続ける。 第一に、移民体験者へのインタビューを継続する。移民体験者の生活史を多角度から分析するため、適宜に同時代を生きた日本人と中国人の戦前世代にもインタビューも行う。 第二に、日本人「満洲」移民の先行研究を参照し、移民母村についての研究を深化する。朝鮮半島の移民母村に該当する地域(全羅道)でフィールドワークを実施する。 第三に、調査データの分析と論文執筆、そして所属研究会にて研究報告を行う。
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