研究課題/領域番号 |
18K11806
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
坂井 真紀子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70624112)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 定期市 / 野菜生産 / カメルーン / バイクタクシー |
研究実績の概要 |
2019年度の研究課題は、調査対象地域における定期市ネットワークを構成する上で欠かせないバイクタクシーの働きについて調査することであった。この目的遂行のため6月に現地調査を行い、約110名のバイクタクシー事業者にアンケートを実施した。大多数がフランス語圏出身者のため当初はフランス語のアンケート用紙のみを用意したが、調査の進捗に伴い英語圏出身者も多数いることが判明し急遽英語版も作成した。その結果、地域の経済状況の悪化に伴い、他業種の従事者や学生などが生活に困窮して一時避難的にバイクタクシーを営む現状が明らかになった。さらに近年英語圏地域での政府との紛争の影響で多くの避難民が当該地域に流入し、地元経済が逼迫している関係でバイクタクシー業者も収入の減少に苦しんでいることがわかった。また2000年ごろからアフリカ・中国間の協力関係が親密になりFOCACの開催に伴い、安価な中国製オートバイが大量に輸入されたことが、バイクタクシー業への参入増加につながったことも確認できた。アンケート回答者は全員が中国製バイクを購入していた。バイクタクシーを営む若者は、Campsとよばれる出待ち場に居場所を持つ物が多く、この場所を起点として助け合いの関係を結んでいる。地元の近隣村のコミュニティとの紐帯を維持しながら、頼母子講の実践などで厳しい経済状況を乗り切っている。 現地滞在中にアンケート結果を集計し、簡易報告書のフランス語版と英語版を作成した。アンケート協力者およびDschang(チャン)市の市長に提出し、バイクタクシーをめぐる厳しい現状を説明した。 アンケート結果をもとにした分析は、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)/日仏財団のHP上に招聘研究者論文として掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は特別研修でフランスに滞在し研究に専念できたため、大学の業務から一時離れて必要な文献調査および、カメルーンでの現地調査と結果報告の執筆に注力できた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になる今年度は、これまで調査してきたローカル定期市で野菜販売を営む女性および定期市を繋ぐバイクタクシーなど地域の経済活性化の主要アクターのそれぞれの役割や位置付けを整理し、現地にてワークショップ形式の結果報告を行う予定である。それに加え基盤となるローカル定期市に関する先行研究をさらに深めて置くことも必要と考える。 コロナウィルスの影響で渡航が難しい場合は、先行研究整理とこれまでの調査結果をもとにした論文の執筆を優先して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は海外での特別研修実施のために2018年度の予算を繰越して、流動的に予算の執行を行った。最終年度である2020年は、約1ヶ月のカメルーン現地調査を予定している。 次年度使用額250880円はワークショップ開催と報告書の発行など研究成果の取りまとめ、及び国内の研究会・学会での成果発表に支出する予定である。
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