研究実績の概要 |
3年目の今年度は、定期市をめぐるさまざまな社会的アクター(生産者、卸売業者、野菜商、運搬業者、バイクタクシー業者、消費者など)の多様性とネットワーク構築の状況を明らかにすることを目標としており、2019年度に実施したバイクタクシー業者への調査を継続するとともに、そのほかの社会的アクターにも対象を広げて、聞き取り調査および仕事への随行調査などを予定していた。しかし、コロナ禍の影響でアフリカへの渡航が不可能となり、当初予定していた現地調査は据え置きとなった。そのため、今年度は目標を国内で行える文献研究に絞り、定期市を中心とした先行研究の見なおし、学術的基盤の強化、を行ってきた。特に、アフリカの定期市研究の古典であるBohannanとDaltonの "Markets in Africa"(1962) と、アフリカのみならずアジア、ラテンアメリカの定期市の事例を紹介したSmith (1978)Market-Place Trade - Periodic Markets, Hawkers, and Traders in Africa, Asia, and Latin America を中心に他地域の定期市事情等の整理を行い、カメルーン西部州の事例との比較の対象軸を明らかにすべく作業を継続している。さらに、2019年度に行ったカメルーン西部州チャン市におけるバイクタクシー業者を対象としたアンケートとインタビュー結果を基にして共著の執筆を行った。
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