日本の中華学校における音楽教育では、大陸系と台湾系とで教材や授業方法に大きな違いが見られた。大陸系の横浜山手中華学校では、中国への祖国愛を歌った曲や中国の民謡・童謡が多く取り上げられつつも、授業の半分は日本の教科書を用い唱歌やリコーダーが教えられ、両国の言語文化を学ばせる教育が行われている。一方、台湾系の横浜中華学院では台湾から取り寄せた教科書が中心であり、日本の教材は補足的な扱いに留まっている。また大陸系、台湾系の相違に加えて、老華僑と新華僑の価値観の違いや、中国台湾にルーツを持たない日本人児童生徒の増加もあり、彼らの音楽教育に対する期待や態度が多様化する中、学校側の模索が続いている。
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