本課題は、以下のような意味で先見的な意味を持つ:1930年代生まれの台湾出身者の経歴と思想が日台の政界、学界、文学界などに与えた影響は一般に認知されてはいる。そのなかで本研究は、世代の特徴に着目し、聞き取り調査の成果を中国語、日本語、英語で書かれた私家版、手稿などの回想録、政府資料とつき合わせる作業を行った。台湾の「少国民世代」の社会史的特徴について、戦後国家の境界を意識的に超え、帝国日本のその後を広域的な視点から具体的に描き出した。その成果は、書籍、論文、講演の形で発表された。さらに、台湾の歴史研究者とも意見交換を行い、本課題を通して得た知見は、台、日、米の戦後史に有益である点を確認できた。
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