本研究の意義は開発援助コミュニティにおいて当たり前とされている前提を疑い、代替仮説を立て、それを体系的に検証した点にある。これにより、アラインメントや参加型アプローチが導入されて久しいにもかかわらず、開発援助の非効率性と非持続性がいまだ改善されないという謎の一端が解明された。つまりアウトプットの持続性を高めるという観点からは、参加やアラインメントといったHands-onアプローチはもはや限界にきており、今後はむしろ、成功報酬の仕組みを使って被援助者の誘因構造を変えることで持続性を高めると理論上は考えられているHands-offアプローチの可能性を検証していくべきことが明らかとなった。
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