研究実績の概要 |
最終年度はコロナが終息した為、トルニョク経営体について調査を行った。コロナ前に調査した、全羅北道のH営農法人の、会長及び理事にヒアリングを行った。同法人はコメを中心に地域の水田を大規模に経営している。営農法人のメンバーは以前と変わらないが、借地や営農受託により経営を拡大しており、補助金を受けて水田大豆への転作を徐々に進めている。 これまでコメ作を中心に経営を進めてきたが、米価が下落し精米20万ウォン/80kgとなっている。生産性は上昇したがコストも上昇している。コメ作に比べて水田大豆は収入上の優位性がある。コメ収入は1,150万ウォン/haであるが、コストは1,200坪当たり賃借料200万ウォン、肥料・農薬費100万ウォンかかる。大豆は1,400万ウォン/haの収入に加え200万の補助金が出る。賃借料と農薬・肥料費も軽減される。冬は麦、夏は水田大豆を植えると、肥料無しでも、収穫量が低下せず、300~350kg/10a収穫できる。コメは育苗から人手がかかるが、大豆はそのようなことが無く、かなりの機械作業が可能であり、労働時間はコメ作の半分である。収穫機は水田大豆専用コンバインを導入している。水田大豆には、優良農地を団地化して充用している。 外国人労働者は除草剤の散布に雇用するが、20万ウォン/1200坪と比較的低コストである。畝と畝との間に散布するためドローンは使えない。散布は4回必要で、1・2回目は機械散布。3回目が人力。4回目が予備・確認である。乾燥は自然乾燥で選別は委託する。加工・選別機の導入による6次産業化は目指さず、栽培規模の拡大のみ追及している。 以上に見るように、同トルニョク経営体は、多角化により経営を安定化させていることが確認された。この調査の結果の一部は、学会報告するとともに、英語論文により公表した。
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