本研究は、アメリカ合衆国ハワイ州(以下、ハワイ)に生息するアクシスジカ(Axis axis)を事例に、野生動物の新たな資源化と地域社会の関係性に焦点を当て、「環境ガバナンスと資源管理に関する理論的研究」、「フィールドワーク」、「調査地への研究成果の還元と応答」の3つを柱として、資源利用をめぐる社会動態を分析をおこない、野生動物保全と資源管理に対する考察をおこない、人と野生動物の共存関係の構築に資する研究成果を目指している。
1年目(平成30年度)は、現地でのフィールドワークを2度おこない、狩猟者を含む地域住民に対する聞き取り調査と、狩猟活動における参与観察、関係機関での資料収集に努めた。その結果、地域住民がおこなう狩猟の実態や、州政府および関係団体(USDA、BIISCなど)が目指す移入種のコントロールに関して、明らかにすることができた。また、共同研究者であるDr.Melissa Priceと会合をもち、今後の研究の進め方と、成果発表の形について協議した。そして、2年目におこなう予定である、長期滞在調査について討議した。加えて、2年目以降の成果発表のために、関係学会に出席し学術的交流をはかり、文献研究による理論的調査も進めた。
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