本研究は、アメリカ合衆国ハワイ州に生息するアクシスジカ(Axis axis)を事例に、野生動物の新たな資源化と地域社会の関係性に焦点を当て、「環境ガバナンスと資源管理に関する理論的研究」、「フィールドワーク」、「調査地への研究成果の還元と応答」の3つを柱として、資源利用をめぐる社会動態を分析することによって、野生動物保全と資源管理に対する考察をおこない、人と野生動物の共存関係の構築に資する研究成果を目指すことを目的としている。 新型コロナウィルスの世界的な蔓延によって延期されていた本研究の最終年度にあたる本年度においては、ワクチン接種によって調査地への渡航が可能になり、補完調査を夏季におこなった。現地では、聞き取り調査を中心に収集した、研究課題であるアクシスジカの利用と管理に関する情報の確認を、関係者に対しておこなった。帰国後は、関係文献の渉猟をおこない、特に調査地であるハワイにおける先住民運動と歴史についての調査をおこなった。これまでの現地での調査結果と、文献研究の成果をまとめ、関係学会誌に投稿する準備をしている。
|