研究課題/領域番号 |
18K11820
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
吉田 信 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (60314457)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 帝国 / 植民地 / 旅券 / パスポート / 国籍 / 国民 / 市民権 |
研究実績の概要 |
2019年度は前年度の研究実績を発展させるとともに,以下に掲げる研究実績に向けて研究を継続する年度となった。 1)研究会への参加。各国の植民地統治に関する研究会に複数回参加し,本科研の研究課題を深める知見を得た。 2)資料収集。国内(主に外務省外交史料館)及び国外(英国及びオランダの国立公文書館,大学図書館等)において史資料の調査収集を実施した。国内では,日本統治下の台湾における旅券の発給状況を把握するため,関連する資料を主として外交史料館において調査収集した。国外での史資料の収集は,英領マラヤの旅券制度に関する史資料(大英図書館及び国立公文書館),蘭領東インドの旅券制度に関する史資料(ハーグの国立公文書館及びライデン大学図書館)を調査収集した。 3)研究報告等。日本からヨーロッパへの移動をめぐるシンポジウムで,コメンテーターとして招聘された。渡欧までの航路が英領植民地を経由しており,シンポジウムでもメインのテーマであったが,日本と蘭領東インド,ヨーロッパとの間の移動の視点からコメントを依頼された。 4)論考執筆。蘭領東インドにおける住民区分を歴史的に概観した論考を脱稿し,2020年度に共著の一部として公刊される予定である(5月出版済)。また,世界史的に大規模な人の移動が生じた最初の事例が奴隷制に関わることから,かつてのオランダ領であったスリナム(オランダ領西インド)を舞台として奴隷制の歴史が現地社会にどのような影響を及ぼしているかを簡単に紹介した論説を公表できた(月刊みんぱく9月号)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題に関する論稿を執筆し,一部の成果を公表している。また,関連する研究分野について原稿の執筆を依頼され2020年度に出版済(5月)。成果の公表という点では「おおむね順調に進展している」と判断できる。 ただし,新型コロナウィルスの世界的流行により3月に予定していた海外での資料調査をキャンセルせざるをえず,一部研究の進捗に影響しているため,総合的に判断して「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本申請研究の最終年度にあたる。研究成果の公表に向けて引き続き原稿の執筆を継続する一方,重要な国内外での資料収集の見通しが立たない状況である。同様に,研究会での報告も目処が立たない。そのため,研究の進捗状況を勘案して,場合によっては次年度へ繰越を検討する必要も生じるかもしれない。
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