研究課題/領域番号 |
18K11823
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
金 賢貞 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (20638853)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 植民地史 / 文化資源化 / 近代文化遺産 / 群山 / 都市再生運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、1990年代末以降、地域に数多く残っている日本式建築物だけではなく、それまで否定・無視されてきた「植民地都市として開発されたローカル史」に新たな意味を付与するとともに、それらの文化資源化を積極的に進めてきた韓国全羅北道群山市を調査地に据え、当該地域で行われている重要な社会的実践としての「都市再生運動」「祝祭」「公共展示施設」を中心に〈植民地遺産の文化資源化〉の様相を明らかにするとともに、再解釈されつつあるローカル史=〈植民地期〉という過去がいかに「公的記憶」「公的歴史」に創りかえられつつあるのか、その具体的なプロセスと社会的・文化的意味を考究することに目的がある。 2019年度には、夏季と春季に約1ヶ月間ずつの現地調査を計2回予定していた。 2019年度夏季のインテンシブな現地調査は計画通りに実施され、次のような成果が得られた。調査地の韓国全羅北道群山市に新たに設置された(1)「群山3・1運動100周年記念館」を訪れ、展示内容の調査および展示を企画した群山市の担当者にインタビューを行った。(2)「群山市都市再生支援センター」を訪れ、センター長や事務局員らにインタビューを実施し、事例となる地域コミュニティの関係者を紹介してもらった。(3)「月明洞」にあるAカフェのオーナーB氏、同洞で眼鏡店を経営するC氏に会い、集中的なインタビュー調査と、コミュニティ祭の企画・準備・実施の一連のプロセスに参加させてもらい、観察調査を行った。ほかにも、B氏とC氏に紹介された青年層の住民やボランティアらにもインタビュー調査を実施した。(4)「ファンヴィレッジ協同組合」の組合長や関係者に会い、組合の発足や現状について集中的な聞取り調査ができた。 夏季調査から期待された成果が得られたのに対し、春季調査は新型コロナウイルス感染症のため、大学の方針もあり、2月から国内外での出張調査が実施できずにいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大防止のため、2月から現在に至るまで国内外での出張調査が実施できていない。さらに危惧されるのは、2020年度夏季(8・9月)に実施予定の韓国での現地調査が実施できるかどうか、不明であることである。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究は、当該年度夏季の現地調査が予想以上に順調に進んだため、本研究に重要な現地資料やインタビュー・データが集められ、所定の成果が得られたものの、当該年度春季の現地調査が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による出入国(渡航)の制限措置に伴い、実施できなかったため、研究計画の実施に支障が出ている。 さらに問題なのは、2020年度夏季の現地調査も、いまのところ、実施できるかどうか不明であることである。現状を考慮すると、現地調査を通して入手する研究データが不可欠な本研究が、当初の計画通りに完了できない恐れも出ている。 ということで、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況や、政府及び所属大学の渡航関連措置を見極めながら、研究期間の延長申請も視野に入れ、研究計画を見直したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
「新型コロナウイルス感染症」の感染拡大防止のための出入国(渡航)制限措置が、所属大学および日本国・韓国より出されたため、2019年度の冬季および春季に予定していた現地調査が実施できなかった。また、2018年度にインフォーマントや現地の事情のため、延期した現地調査が2019年度に予定通り実施できなかった。 2020年度に現在遅れている現地調査をちゃんと実施し、本研究に不可欠な現地データを入手したいが、いまのところ、2020年度夏季の現地調査もその実施が可能かどうか予測できない状況にある。
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