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2023 年度 実施状況報告書

北部南アジアにおける聖牛保護と屠畜をめぐる政治人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K11824
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

宮本 万里  慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (60570984)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2025-03-31
キーワード東ヒマラヤ / ブータン / 北東インド / 屠畜 / 肉食 / 宗教 / 牧畜社会 / 動物供犠
研究実績の概要

2023年度は、ブータン国において2週間の現地調査を実施したほか、北東インドの宗教と屠畜実践に関わる論考(印刷中)、及びブータン北部高地牧畜民と国家との関わりに関する論考をそれぞれ執筆した(印刷中)。また、国内の研究会での研究発表と意見交換を複数回実施した。現地調査は2024年2月末から2週間ブータン東部地域を中心に実施し、仏教関連の宗教施設での情報収集や在野の信徒による宗教実践に関する聞き取りを行ったほか、ヤク肉の売買を行う高地の牧畜村での参与観察と聞き取りを行った。また、東ブータン東端に生きる人々と国境を共有するインドのアルナーチャル・プラデーシュ州の人々との文化的経済的相互関係の実態を、越境的な親族ネットワークの広がりと国境を超えた商業ネットワークの浸透という点から明らかにしようと試みた。
仏教僧院への聞き取りでは、教育システムに関する情報収集から、インドのチベット仏教僧院への留学を可能とする親族の繋がりや僧侶たちによる帰国後の宗教活動が、村落地域における仏教僧院や寺の総数だけではなく、人々の肉食と屠畜実践にも大きな影響を及ぼしている点が明らかになった。またブータンの僧侶がインドの大僧院で修学する背景には、インド在住の高僧らによる経済的支援があり、それはブータン東部におけるチベット仏教主流派の影響力を強めていた。ブータン東部と北東インド諸州を含む東ヒマラヤ地域における宗教領域は、北部インドのヒンドゥー教の影響よりも南インドに点在する主流派の仏教僧院の影響が大きい地域があり、それはより厳格な戒律とよりグローバルな宗教ネットワークのただ中にこの地域を置くことにつながっていると言えそうだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の調査対象国の一つであるブータンではCOVID-19の影響による渡航規制が2022年後半から漸進的に解消し、2023年度には滞在調査を比較的長期間かつ国境地域まで踏み込んで実施できるようになったため、現地調査には大きな進捗がみられた。また、COVID-19パンデミック下での国境地域における人的物的移動の規制は、東ブータンにおけるインド国境地帯の人々の往来や交流を一時的に制約しただけではなく、新たな国境管理のスキームを定着させていることが明らかになったため、これらの点を踏まえた調査の実施ができている。

今後の研究の推進方策

調査期間を延長したため、2024年度を最終年度とし、これまで集めた調査データと文献調査を通して研究結果の総括を行い、研究発表および研究論文の形にして出版する予定である。

次年度使用額が生じた理由

ブータン現地の受け入れ状況が変化して、現地調査が2023年度末に延長されたことにより、年度内に成果公表の経費を計画通り遂行することができなかった。そのため、残額を次年度の2024年度に持ち越し、研究成果発表に関わる費用(文字起こし、英文校閲等)として使用することとしたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] RIGSS(ブータン)

    • 国名
      ブータン
    • 外国機関名
      RIGSS
  • [雑誌論文] 地方豪族の旧邸だからこそ:オギェン・チョリン博物館2024

    • 著者名/発表者名
      宮本万里
    • 雑誌名

      月刊みんぱく

      巻: 48 ページ: 16

  • [学会発表] ブータン及びインド、アルナーチャル・プラデーシュ州における仏教ナショナリズムの高まりと屠畜忌避の諸実践2023

    • 著者名/発表者名
      宮本万里
    • 学会等名
      駒澤宗教学研究会第198回宗教学研究会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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