研究課題/領域番号 |
18K11846
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
金子 淳 桜美林大学, 人文学系, 准教授 (00452178)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 博物館 / コンテンツツーリズム / 展示 / 観光 / 歴史像 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、コンテンツツーリズムにおける「ストーリーの没入欲求」に焦点を当て、歴史系博物館展示の具体的な展開事例をもとに、来場者の歴史像の構築に寄与できているかどうかを検証することを目指すものであるが、初年度となる2018年度においては、以下に示すとおり、文献収集を中心とした基礎調査に注力するとともに、予備的な現地調査を実施し、研究課題に関する基礎的な視座の確認と全体状況の把握に努めた。 まず、資料収集においては、各博物館の活動状況を把握する資料を入手したほか、先行研究に関する文献など多岐にわたる資料収集を行った。また、大河ドラマをもとにまちづくりを推進する事例について現地調査を実施した。2004年放映の大河ドラマ「新選組!」の主要な舞台となり、近年はゲームやアニメなどのサブカルチャーにより特に若年層への人気が高い東京都日野市において現地調査を行い、いわゆる「聖地巡礼」の実態を調査するとともに、関係者への聞き取りを実施した。その結果、サブカルチャーと結びついた歴史像の表象が社会的に求められる一方で、基礎的な調査研究に基づく学術性が担保された展示を志向する博物館側の葛藤が明らかとなり、そのジレンマに対してどのように対応していくかが本研究における大きな課題であることが改めて確認された。 あわせて本年度においては、「場所性」に注目して理論的な考察を行った。コンテンツツーリズムにおいて、地域と作品(コンテンツ)とのつながりを考察する際に「場所性」という概念は不可欠であるが、「場所性」をキーワードに博物館を事例として検討し、その成果を「博物館における場所性とオーセンティシティ」としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において重点的に実施した資料収集に関しては、各博物館において発行するガイドブック・展示図録・パンフレット・研究紀要などの収集が順調に進んだ。また、収集した資料のうち可能なものは順次デジタル化を進めた。 東京都日野市における現地調査においては、大河ドラマそのものに対して、また「聖地巡礼」に訪れるファンに対して、当該自治体や市民団体等の認識や姿勢およびその温度差の実態にも接することができ、その葛藤や解決策について具体的に知ることができた。これらの成果は、今後の研究において十分に活かし得るデータになると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらなる資料収集を進めるとともに、調査検討する事例を増やしていくことが急務である。とりわけコンテンツツーリズムにおいては、題材や地域によって状況が大きく異なってくることから、調査対象を拡大し、地域に即した具体的なデータを数多く収集していくことが求められる。 事例については、さしあたっては大河ドラマや時代劇など歴史像の表象と関係の深い題材を想定しているが、マンガやアニメ、ゲームのようなサブカルチャーの動向も探りつつ、徐々に調査対象を広げていくことを予定している。 さらに、歴史系博物館における実際の展示内容の確認を行うなど本格的な調査に着手する。展示手法、解説パネルの文言、映像や写真の選択、展示資料の種類などのデータを集積することに力を注ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に突発的に入ってきた予定外の校務により、当初計画していた出張に行くことが不可能になってしまい、残額が生じた。翌年度分と合わせて調査のための出張において執行する予定である。
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