研究課題/領域番号 |
18K11847
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
野口 洋平 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (90387944)
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研究分担者 |
花井 友美 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70634525)
具 敏靖 帝京大学, 経済学部, 研究員 (30870886)
金 振晩 帝京大学, 経済学部, 教授 (60554160) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ボーダーレス観光 / 東アジア / シェンゲン協定 / ロングステイ / 二次交通 / 出入国管理 / 国際観光 |
研究実績の概要 |
「ボーダーレス観光」をめぐって、(1)日本の国際観光を担当する機関へのヒアリング調査、(2)韓国・台湾の国際観光を担当する機関および研究機関・有識者(研究者)へのヒアリング調査、(3)イタリア・ドイツの観光行政の担当者へのヒアリング調査、(4)ロングステイのコーディネーターへのヒアリング調査およびロングステイ経験者への質問紙調査、をそれぞれ実施した。また、それらの結果・研究成果について学会で報告を行った。その上で、最終年度は、それまでの研究成果をふまえ、全体としての検討を行った。 「ボーダーレス観光」の実現とそのメリットについては、ヒアリング調査、質問紙調査の対象者から概ね肯定的な回答を得た。その一方で、特に政府機関の関係者からは、ヨーロッパのシェンゲン協定など、制度や手続きは観光行政とは別の部署・機関が所管しているもので、また出入国管理についてはむしろ厳格化が求められる状況であることが分かった。また、二次交通など制度・手続き等以外について、国・政府が直接対応できる部分は限られており、地方自治体や地元企業の対応に委ねられている現状がある点も明らかになった。さらに、「ボーダーレス観光」の実現は、環境や条件による変化が激しく、マイナスのインパクトもある国際観光よりも、安定的な需要が見込まれる国内観光の促進に貢献することが期待されている点も明らかになった。そして、移動をめぐる利便性の向上については、観光目的の旅行者に加えて、ロングステイ参加者による第3国への観光が少なくない実態から、その際の利便性の向上への期待が大きいことも明らかになった。 国際観光の促進には「ボーダーレス観光」を実現する制度や手続き、環境の見直しや整備が必要なものの、そのステークホルダーが多岐にわたり、また国・地域内外の状況から影響を受けることから、目的や計画、過程の十分な検討が必要であることが分かった。
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