研究課題/領域番号 |
18K11848
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
寺本 潔 玉川大学, 教育学部, 教授 (40167523)
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研究分担者 |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 教授 (10324443)
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 観光教育 / インバウンド / アメリカ合衆国理解 / 観光資源 |
研究実績の概要 |
ESDの視点からの日本型観光教育カリキュラムを開発することを試みている。寺本は長崎県対馬市へのインバウンドの急増に対応した観光学習や北海道札幌市に出向いて小学校第4学年児童に対し、アイヌ文化を観光資源として見つめる観光を軸とした学習方法を開発した。とりわけアイヌ文様に隠されている異文化の魅力を観光教材として成立させる授業の方法を確立できた。高等学校段階では、沖縄県八重山地域の商工観光コースの生徒に対してSWOT分析の枠組みによる授業開発や観光の花びらと名付けた観光資源を6分類する方法なども開発できた。さらに,当高校の台湾への修学旅行の事前学習としての観光地研究なども授業づくりを支援できた。研究成果は日本社会科教育学会や日本地理教育学会で口頭発表でき,日本環境教育学会の集会においてもESDに焦点を当てた観光教育に関する研究交流を持てた。 また,大西は2018年度はESDを踏まえた地域づくりについて富山市の小学校の実践事例を収集し,それを国際会議(IGU地理教育コミッション)で報告した。田部・大西らはアメリカ合衆国等の実地調査や文献調査を踏まえたカリキュラムや教材の提案を隣接諸教科への発展を含めて行った。とりわけ以下の論文ではワシントンD.C.の実地調査を踏まえ,国際政治の中心で計画的な公園都市・放射直交路都市であるワシントンD.C.の立法:国会議事堂(連邦議会議事堂),行政:ホワイトハウス,司法:最高裁判所を中心にまとめた。現在は,地理だけではなく,公民科政治経済において扱う民主政治の基本原理や日本の政治機構のモデルとなっているアメリカ合衆国の政治体制についての教材化を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外の学校における観光教育カリキュラムの資料調査やカリキュラム検討は鋭意進みつつある。また,日本におけるSDGsも見通したESDに立脚した観光教育カリキュラムの構築に関しては小中高一貫した視点が十分には検討できておらず,次年度の課題となっている。この点に関しては日本観光研究学会研究ワークショップや日本地理教育学会例会などの機会を通して現在,研究者以外の知見も頂戴しつつ,検討を行っている。教育実践的には具体的な教材の開発や指導法の検討が寺本を中心に実施されている。また、田部と大西がケベックシティで開催された国際会議に出席した際に,予定にはなかったが,世界遺産都市の観光のあり方や、地理学習を通じた世界遺産都市の理解についての取り組みを調べた。さらに,地理空間情報を活用したESDのあり方について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、海外の動向研究や日本におけるESDに立脚した観光教育カリキュラムの構築に尽力していく。観光庁においても観光教育シンポジウムが本年3月に開催され,この方面の関心を高めつつあるため,それらの動きにも関与し,教育実践に裏付けられた研究に仕上げていきたい。教育実践についてはまだ取り組んでいないが,大西は富山市のスマートシティ事業などを踏まえ,観光という現象をデータからどのように 捉えるべきなのか,その教材開発に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
観光教育に関する教材購入の時期がずれたため、次年度に使用額を持ち越して使用する計画である。
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