研究課題/領域番号 |
18K11853
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
片山 明久 京都文教大学, 総合社会学部, 准教授 (10625990)
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研究分担者 |
遠藤 英樹 立命館大学, 文学部, 教授 (00275348)
森 正美 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (00298746)
堀野 正人 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (30305742)
橋本 和也 京都文教大学, 総合社会学部, 名誉教授 (90237933)
山田 香織 追手門学院大学, 基盤教育機構, 大学常勤講師 (50731832)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域観光人材 / インターンシップ / 地域ツーリズム塾 / 地域への就業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域における観光人材を育成するとともに、地域への就業と定着の適正化を図るための戦略を構築し、理論化することである。この目的を達成するために、本研究では研究期間を2年毎に分け、2つのフェーズを設けて研究を推進している。 初年度(第1フェーズ1年目)の主な研究は、第1には地域の企業や行政、NPOが現実にどのような人材を求めているのかというニーズを把握・再確認することである。方法としては対象を企業と行政に分けて調査を行い、各々が持つ観光人材のニーズの把握に努めた。具体的には、企業としてJTBグループにおける観光人材像とインターンシップの状況を調査し、同社が求める観光人材像を把握した。また奈良県における大学連合インターンシップの調査も行い、参加状況やプログラム内容の特徴などを理解した。第2には、他大学や他地域における先進事例を検討することとした。他大学の取り組み事例として、和歌山大学観光学部における観光人材教育について、同大学より担当者を招き聞き取り調査を行った。地域インターンシップをはじめとする同大学の特徴的なプログラムを確認した。本年度は、これらの調査研究を3回の研究会を開催し研究者間で共有した。 現在は、これらの調査・研究に加えて、これまでに研究分担者によって調査されてきた北海道大学を中心とした「北の観光人材」や九州ツーリズム大学、また新潟県越後妻有の「大地の芸術祭」や香川県直島の「瀬戸内国際芸術祭」など複数の芸術祭における人材教育から理解できた知見を基に、求められる観光人材に対する分析枠組みの発案と検討に着手し始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この1年間では、主に地域の企業や行政、NPOの持つ観光人材に対するニーズの把握を中心に研究を進めてきたが、その過程でそれぞれの立場が求める人材像には、想像以上に違いがあるということが分かった。またそれを教育現場が共有できていないために、インターンシップや就業においてもミスマッチが起こっていることも事例研究から散見できた。したがって、各所における観光人材に対するニーズをより詳しく、かつ慎重に理解しなければならないと考えるようになった。地域ツーリズム塾のスタートにあたってはこれらの正確なニーズ把握に基づく、実情に見合った達成目標とカリキュラムを設定しなければならない。当初は地域ツーリズム塾のスタートを第1フェーズ2年目の秋に想定していたが、それを半年~1年遅らせる決断に至ったのは、その理由によるものである。
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今後の研究の推進方策 |
第1フェーズ2年目となる本年は、まず各所における観光人材に対するニーズの特定を進める。そのために必要な研究会の開催、先進的な事例に詳しい講師の招聘、地域観光関係者への幅広いヒアリング、これらのテーマの研究深耕に寄与できる学会への参加などの活動を昨年に引き続き行っていく。その上で、これらのニーズ把握に基づく、実情に見合った達成目標とカリキュラムの設定を行う。そして第2フェーズにおける地域ツーリズム塾のスタートにつなげていく。 ところで今日地域における課題は様々な点において存在しており、またそれらは相互に連動している場合も多い。観光においても、観光振興や受入れ体制の強化といった課題は、地域の高齢化や少子化といった生活・福祉面での課題に強く関係している。一方で地域の観光資源の充実化を考えるとき、宇治においては近年地域の歴史や地域を舞台にしたコンテンツなどに注目し、その魅力を掘り起こし、定着させようという団体の活動も散見できる。本研究は、第1の目的として地域における観光人材の育成を掲げるが、それを第2の目的である地域への就業と定着の適正化につなげるためには、上に挙げた生活・福祉面での課題や政策との関係(連動や相乗効果)にも意識を向けておく必要があるだろう。また、地域の歴史や地域を舞台にしたコンテンツなどに注目している団体との連携や相互活用も行っていくことも、2つの目的を進めるうえで効果的であると考えられるだろう。本科研では、今後はこれら地域の様々なアクターとも連携を取りながら研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1フェーズ2年目となる本年は、まず各所における観光人材に対するニーズの特定を進める。そのために必要な研究会の開催(3~4回)、先進的な事例に詳しい講師の招聘(2~3回)、地域観光関係者への幅広いヒアリング、これらのテーマの研究深耕に寄与できる学会への参加(各研究員毎2回)などの活動を行っていく。その上で、これらのニーズ把握に基づく、実情に見合った達成目標とカリキュラムの設定を行う。そして第2フェーズにおける地域ツーリズム塾のスタートにつなげていく。
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