研究課題/領域番号 |
18K11858
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
岩崎 達也 関東学院大学, 経営学部, 教授 (70756840)
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研究分担者 |
大方 優子 九州産業大学, 地域共創学部, 准教授 (30390313)
津村 将章 中京大学, 経営学部, 准教授 (60735223)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アニメ聖地巡礼 / 消費者行動 / 高関与消費 / リピート行動 / 地域マネジメント |
研究実績の概要 |
我々の研究は、アニメ聖地巡礼を事例として、超高関与旅行者である巡礼者の行動分析とそのモデル化をテーマとする。本年度は、それを検証するためのアニメ聖地へのフィールドワークおよび取材、旅行者が書いた巡礼ノートの各種分析を行った。具体的には、「ユーリ!!! on ICE」の佐賀県唐津市の観光課取材、巡礼ノート分析、「ラブライブ!サンシャイン!!」の沼津市観光課取材、あげつち商店街ほか取材、および巡礼ノートの内容分析、かねてより調査を行っていた「夏目友人帳」の熊本県人吉市の取材から、因子分析によって行動意図の抽出、巡礼ノートからテキストマイニングによる巡礼者心理の分析を行った。 その結果、アニメ聖地巡礼の行動因子としては『自己承認欲求』、『冒険探索欲求』、『自己解放欲求』、『つながり欲求』の4つが抽出された。また、巡礼ノートによるテキストマイニングでは、アニメへの愛着が、地域への愛着へとつながることが見出され、アニメ聖地巡礼行動における知見となった。地域マネジメント、地域誘客の視点でも有用な知見となった。 学会での発表としては、マーケティングサイエンス学会「高関与旅行者としてのアニメ聖地巡礼者の行動分析」(6月2日、大阪経済大学)、研究発表としては、愛知淑徳大学講演「メディアとコンテンツツーリズム」(8月24日)、「九州産業大学×BIZCOLIコラボセミナー」講演「アニメ聖地巡礼と九州の潜在力」(2月15日)を行った。また、現在、研究の成果を九州産業大学産業経営研究所および、その先の成果を晃洋書房より出版する方向でまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『夏目友人帳』の聖地、熊本県人吉市にて「行政」への取材(人吉市観光課、観光センター)、「事業者」への取材(旅館、食事所、ショップ、酒蔵など)を実施したが、その内容をテキスト化し、地域側の施策の分析を行った。また、巡礼ノート9冊をテキスト化(2000件)し、テキストマイニングにより、旅行者側の行動意図の分析を行った。 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』埼玉県秩父市観光課、『ユーリ!!! on ICE』の佐賀県唐津市観光課の各担当者への取材および現地調査。『君の名は。』岐阜県飛騨市、『ラブライブ!サンシャイン!!』の静岡県沼津市などへの取材と商店街の取り組みを取材、作品と地域の取り組みの相違などの調査・分析を行った。現在、巡礼者側の行動と動機についての調査検証のため、各地域の巡礼ノートの分析とアンケートを行っている。 また、マーケティングサイエンス学会での発表(6月2日)、愛知淑徳大学での講演(8月24日)、「九州産業大学×BIZCOLIコラボセミナー」講演(2019年2月15日)など、アニメ聖地巡礼事例とここまでの高関与旅行者である聖地巡礼者の行動分析を発表できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した調査結果やインタビューの検証と分析を行う。さらに、聖地巡礼者のアニメへの関与と地域への関与に関するアンケート調査を行うことによって、聖地巡礼のリピート行動への態度形成要因を分析し、聖地巡礼行動モデルへのフィードバックを行う。また、聖地巡礼者の関与度合いによるクラスター行動分析を行う。 同時に、ドラマツーリズムとの比較において、アニメ聖地巡礼のリピート性の調査を行っている。なぜ、ドラマとは異なり、アニメ聖地巡礼においては繰り返し同じ地に訪れる行動をとるのか、その要因をつきとめることで、地域誘客施策の知見を導き出すことを考えている。 本研究で得た成果を次年度の日本マーケティングサイエンス学会、日本観光研究学会および日本マーケティング学会で発表する予定である。また、本年までの成果を九州産業大学産業経営研究所の報告書においてまとめ、全体の研究内容においては晃洋書房にて書籍化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度調査予定分(巡礼者の行動分析のためのアンケート調査)が本年度中に実施できず、次年度に行う予定である。また、学会発表などの成果発表にともなう交通費に関し、次年度に持ち越し発表するため、次年度に使用する。マーケティング学会(10月20日)、日本観光研究学会(12月14日)、マーケティング・サイエンス学会(12月)での発表を予定している。
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