研究課題/領域番号 |
18K11861
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
児玉 徹 筑波大学, 筑波会議・TGSW推進ユニット, 准教授 (50420592)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ワイン / ツーリズム・観光 / 地域ブランド、文化情報、テロワール / 地理的表示と知的財産 / 観光政策・観光産業 / 酒類産業 / 文化政策・文化産業・クリエイティブ産業 / 農産物・食品・食文化 |
研究実績の概要 |
地域の農産物や食品・食文化に起因するツーリズム(フードツーリズム)を推進する政策においては、「テロワール」のような様々な地域ブランド情報が、多様な関連主体の動的な関係性の中で創造され、発信される。本研究では、こうした地域ブランド情報の創造・発信・普及を支える多種多様な政策・制度・仕組みにおける産・官・学・民の相関関係を、特にワインツーリズム ・ワイン産業に焦点を当てながら、政策人類学的な観点から明らかにし、ツーリズム研究や地域ブランド研究における新しい研究視座を提供する。 2018年度は、国内外での調査活動を精力的に実施した。海外では、フランスのボルドー・ブルゴーニュ・シャンパーニュやドイツのモーゼル地方、スペインのバスク地方等のワイン産地、ドイツで開催された世界最大級のワイン産業展Prowein、アジア最大級のワイン産業展Hong Kong International Wine & Spirits Fairなどを訪問し、ワイナリー経営者、研究者、政策担当者、ワイン産業団体関係者、観光業関係者等にインタビューを実施した。国内でも、山梨県・長野県等のワイン産業関係者に対して複数回インタビュー調査を実施した。その他、国内外の関連文献を通して調査を実施した。 これら研究調査活動を通して得られた研究成果についても、国内外で開催された複数の国際学会や、関連ジャーナルにおいて発表した(下記の「現在までの進捗状況」を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究調査活動は概ね順調に進んでおり、研究成果もコンスタントに発表してきている。 本研究の成果を研究論文として2018年度中に発表したものとしては、「日本ワインを軸とした日本のワイン産業の推進戦略」(「国際貿易と投資」113号)、「日本のウイスキーに関する国産・地域ブランドの推進~求められる法的基準」(「国際貿易と投資」115号)、「地理的表示制度の活用を通した日本ワインの地域ブランド推進 - ワインツーリズム推進策の一要素として」(日本国際観光学会論文集26号)がある。 さらに2018年度においては、つくば市で開催された筑波大学主催の国際会議「Tsukuba Global Science Week」にて「ワイン産業の持続的発展に向けて」と題するトークセッションをオーガナイザーとして企画実施した。同セッションでは、自らスピーカー及びモデレーターを務めつつ、山梨県・長野県・つくば市のワイン産業関係者及び駐日ニュージーランド大使館のワイン貿易担当者をスピーカーとして招聘し、対談を通して日本のワイン産業界における様々な課題等について議論を行なった。また、スペインのVitoria-Gasteizで開催された「The 11th Annual International Wine Tourism Conference」にて「Policies for Wine Tourism and the Wine Industry in Japan」と題する研究発表を実施した。さらにフランス・パリで開催された「2019 Food & Society International Conference」において、「Public and Private Initiatives for the Promotion of the Wine Industry in Japan」と題する研究発表を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては、国内外におけるさらに様々なワイン産地を対象にフィールド調査や文献調査を実施する。また、海外におけるワインやその他食文化・農産物の地域ブランド情報に関する多種多様な研究成果・論考をさらに調査する。 2018年度における研究調査活動を通して、ワインツーリズム・ワイン産業における地域ブランド情報の発信に関する動的な力学をより明確に浮き彫りにしていくために、類似する酒類産業やその他フード産業・フードツーリズム産業における地域ブランド情報の発信に関する産・官・学・民の相互関係との比較考察を実施することの重要性を認識した。 ついては、2019年度においては、ワインツーリズム ・ワイン産業における地域ブランド情報の創造・発信に関する政策・制度・仕組みと、その他の多様なフードツーリズム分野やフード産業分野における地域ブランド情報の創造・発信に関する政策・制度・仕組みを比較考察し、それら政策・制度・仕組みにおける産・官・学・民の動的な相関関係について、相違点や共通点、問題点、将来に向けた課題、解決策などを明らかにしていく。そしてこうした研究調査活動から、ツーリズム研究、地域ブランド研究における新しい研究視座を模索していく。 2018年度に発表した「日本のウイスキーに関する国産・地域ブランドの推進~求められる法的基準」(「国際貿易と投資」115号)では、ワイン及び日本酒に関する国産・地域ブランドの推進策とウイスキーに関する国産・地域ブランドの推進策の比較考察が軸となっており、今後とも、こうした比較的視座を発展・拡充させながら、鋭意研究調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年3月8日 - 4月15日にかけて欧州の関連箇所を訪問し、現地調査及び3つの国際学会での研究成果発表を行なったが、その欧州訪問における2018年度に該当する期間(3月8日 - 3月31日)に関する旅費等については、当該欧州訪問からの帰国後に精算手続きを行い、結果として当該金額(685,215円)については「次年度使用額」として取り扱われているため。
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