研究課題/領域番号 |
18K11862
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研究機関 | 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター) |
研究代表者 |
菅野 正洋 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター), 観光政策研究部, 主任研究員 (00795578)
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研究分担者 |
守屋 邦彦 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター), 観光政策研究部, 主任研究員 (20814627)
保井 美樹 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (60345147)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デスティネーション・ガバナンス / パートナーシップ / エリアマネジメント / MICE / 中山間地域 |
研究実績の概要 |
海外の学術研究分野における「観光地ガバナンス(Destination Governance)」概念に関する先行研究をレビューした。その際には、レジャー需要だけでなく、ビジネス需要への対応に関する先行研究のレビューも行った。また、「エリアマネジメント」も関連する概念として対象とし、比較を行った。 これにより、Destination Governanceに関する議論の発展経緯、Destination GovernanceとTourism Governanceの相違点、Destination Governanceのモデルに関する研究概要(定性的アプローチ、定量的アプローチ)を把握することができた。 ビジネス需要への対応に関するレビュー結果からは、我が国における学術論文の少なさ、また全世界的な定量的アプローチによる論文の少なさが明らかになった。 また、エリアマネジメントとの比較においては、Destination Governanceに至る系譜として、Planning→Management→Governanceといった流れがあり、時代を経るに従って個別の手法論(タクティクス)から戦略(ストラテジー)へ主眼がシフトしているのに対して、エリアマネジメントや都市経営の分野では、2015年の「Street Fight」、2016年に刊行された「Tactical Urbanism」に代表されるように、戦略(ストラテジー)よりも、まずはある意味でゲリラ的にタクティカルに取り組むべし、といった論調が起こってきており、逆の流れとなっていることが明らかになった。 なお、当初計画していなかったが、観光地ガバナンスのあり方を定量的に評価する手法として、効果を貨幣価値に換算するアプローチについても検討を行うこととし、先行研究のレビューに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度に計画していた先行研究のレビューは概ね予定通り進行し、所定の成果を創出できている。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、我が国における「観光地ガバナンスのあり方(方法論)」の仮説モデル設定をおこない、意思決定や行動のパターン整理とその背景要因、あるいは全体最適に導くために必要な取組や仕組み、さらには持続的な「パートナーシップ」形成に必要な要件を併せて明確化する。具体的には、Beritelli et al.(2007)およびd’Angella et al. (2010)の提唱しているDestination Governanceの構成要素をベースに、「コーポレートガバナンス」の諸理論の観光地への援用を前提としてモデルを構築予定。 併せて、海外における「デスティネーション・ガバナンス」の実践事例の概要を把握する。具体的には関係者へのインタビューを行い、関係者相互の関係性を規定する要因や、合意形成・連携に対する意識(または阻害要因)を先行的に把握する。この際、研究者や実務者との意見交換も行う。具体的には、Dr. Pietro Beritelli(スイス・ザンクトガレン大学)、Dr. Harald Pechlaner(ドイツ・アイヒシュテット・インゴルシュタット・カトリック大学)を想定している。 令和2年度は、国内モデル地域における「観光地ガバナンス」の導入にあたっての課題と可能性を検討し仮説モデルを検証する。これにより今後の展開に向けた課題と、それらの課題に対応するためのわが国における社会システムの(制度や仕組み)のあり方を導出する。具体的にはBeritelli et al.(2007)およびd’Angella et al. (2010)の方法論をベースに「定性的評価」を基本としてケーススタディを実施予定。 また、観光地ガバナンスの効果を貨幣価値に換算するアプローチについても引き続き検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究活動の効率化および代替手段の活用により、予定していた経費のうち、一部の備品費(海外論文、書籍等)、旅費(学会発表)、人件費・謝金(研究協力者の大学院生)が発生しなかったため、次年度使用額が発生した。 当該経費については、次年度に予定している海外における「デスティネーション・ガバナンス」の実践事例の概要把握のための旅費や、効果を貨幣価値に換算するアプローチとして追加的に実査を行う場合には当該調査費に充当することを想定。
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