研究課題/領域番号 |
18K11868
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
藤山 一郎 和歌山大学, 国際連携部門, 准教授 (70388106)
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研究分担者 |
大山 牧子 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (70748730)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ボランティア・ツーリズム / サービス・ラーニング / 海外体験学習 / インドネシア / オンライン学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ボランティア・ツーリズム(VT)において、いわゆる<ゲスト(訪問者)>と<ホスト(現地受け入れ組織や住民等)>の相互利益を涵養するモデルを構築することである。 初年度においては、研究分担者と共に現地調査に向けた評価項目を策定し、研究代表者が本務校で開講するインドネシア海外体験学習プログラムにおいて実践調査を実施した(2019年3月)。実践対象は、「観光村」として地域振興をはかる地方農村である。参加学生がフィールド調査をおこない、「観光村」関係者である住民に観光村推進に向けた課題や改善を現地大学生とともに提案するものである。 実践調査の柱は、学生による現地活動の肯定的および否定的影響の有無とその判断に至る理由を収集するものであった。この現地調査の分析によって、ゲストとホストの間に一定の相互利益が発生していることが判明したが、その効果のさらなる向上には、活動のパートナーとなる現地大学生による<ゲスト=参加学生>と<ホスト=観光村住民>の両者への主体的関与の重要性が示唆された。この成果と次回の実践に関する提案を2019年7月の日本教育工学会研究会において発表した。 これを受けて、2020年3月の第2回目となる現地実践調査に向けたインドネシア海外体験学習プログラムの事前教育段階において、本務校の参加学生とともにオンラインを活用して現地大学生も組み込む等の実践モデルの改善に着手した。しかしながら、新型コロナ肺炎によるホスト村の受入制限により、途中帰国処置となり実践調査が不可となる事態に陥った。それに伴い、2020年度内に予定していた研究成果の総括、モデル構築も支障を来すこととなったため、オンラインを活用したボランティア実践の可能性に関する検討とその予備的な実践をおこなった。以上の結果により、今年度までの当該研究終了を断念し、研究期間の1年間延長を申請することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で記載したとおり、新型コロナ肺炎の世界的拡大という想定しえない事態により、研究期間2年目最後における第2回現地実践調査とその後の研究総括を予定どおり実施することが困難となった。 ただし、この状況は新たな課題を見いだす契機となった。オンラインを活用したボランティアあるいはサービス・ラーニングの可能性である。現時点において学生および教員が現地訪問・活動実践・調査をおこなうことが全く見通せない中で、オンラインの活用とその効用を視野にいれたモデル構築について検討していくことが必要である。 そこで、2020年度においては予備的な実践をおこなった。インドネシアの大学とオンラインによる協働学習授業をおこない、その報告と課題について「実践報告」としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長したうえで、今後の研究の推進方策は以下のとおりとする。 現地実践調査については現状では見通せない一方、これまでの研究によりオンラインによるボランティア活動実践の可能性が判明した。引き続き、先行研究とともに実践をともなった検証をおこなう。 以て、現地訪問・実践が可能となった時点におけるオンラインと現地(対面)を組み合わせたハイブリッド型ボランティア・ツーリズムのモデル構築をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ肺炎による渡航制限と想定した研究計画が進まなかったため研究期間の延長とともに、研究費を一部繰り越しとした。文献購入や印刷費、消耗品費として使用を予定する。
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