研究課題/領域番号 |
18K11877
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
花井 友美 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70634525)
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研究分担者 |
八城 薫 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (50445186)
今野 久子 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70742071)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フォトジェニックな旅 / 自己意識 / 差異化 / 承認獲得 |
研究実績の概要 |
近年注目されている旅の一つに「フォトジェニックな旅」がある。「フォトジェニックな旅行者」はインターネットで見た写真をきっかけに未知の旅行先に興味を持ち、旅先で写真を撮影し、SNSに投稿する。本研究では、自分らしさの確認という視点からフォトジェニックな旅行者の特徴を明らかにしていく(研究1)。また、イベント性の高いフォトジェニックな旅としてロケーションフォトウェディングを取り上げ、海外からの旅行者を引き付ける旅の要素と地域活性化への新たな糸口を明らかにしていく(研究2)。初年度にあたる2018年度は、研究1を中心に3つの調査を実施し、フォトジェニックな旅行者の旅行動機、情報行動の特徴、意思決定過程、旅行満足度を自己意識との関係から実証的に分析した。 研究1-1:旅行時の写真の見返し行動が自己表現や新たな自己の側面の発見に与える効果を検討した。2018年5月に東京都内の私立大学に通う大学生189名を対象とした質問紙調査を実施した。その結果、①旅行写真の見返しが自分らしさの確認になること、②SNSやブログの写真を旅行先を決める際に参考にした者の方がその効果が強く見られることが明らかにされた。 研究1-2:フォトジェニックな旅行者の旅行動機、旅行観ならびに写真の撮影と投稿が旅行者の感情状態に与える影響を明らかにするために、2018年9~11月に東京近郊在住の34名を対象としたインタビュー調査を実施した。研究1-2については分析中である。 研究1-3:旅行中に撮影した写真のSNSへの投稿行動を自己呈示行動の一つと捉え、旅行写真の投稿における自己呈示スタイルを検討した。2018年8月に東京近郊在住の9,440名を対象とした質問紙調査(WEB調査)を実施した結果、旅行写真のSNS投稿行動には、他者との差異化を希求する傾向と周囲からの承認を希求する傾向の2パターンがあることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りフォトジェニックな旅行者に対するインタビュー調査(研究1-2)に加え、次年度に予定していた質問紙調査(WEB調査; 研究1-3)を実施することができた。また、研究2に向けた事前視察を行い、2019年度以降の研究計画を再考することができたため、おおむね順調に研究が進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に実施したフォトジェニックな旅行者に対するインタビュー調査(研究1-2)の分析を進める。また、研究2の実施に向けて、ロケーションフォトウェディングが盛んで、かつ訪日希望が高い香港におけるロケーションフォトウェディングの実態と今後の展開について視察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
フォトジェニックな旅行者に対するインタビュー調査(研究1-2)の実施にあたり予算以下の費用で実施することができた。また、研究1-3のWEB調査も研究1-2と同時に行うことで、研究目的を変えないまま、支出を抑えることができた。 研究2の実施にあたり、当初は札幌視察及び調査を考えていたが、2018年度に札幌事前視察を行った結果、ロケーションフォトウェディングが盛んで、かつ訪日希望が高い香港のエキスポ等での調査を並行実施することが有効であると判明した。そのため、2019年度に香港視察を実施した上で研究2の実施場所を検討することとし、その費用として「次年度使用額」を使用する予定である。
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