(1)本研究の研究成果は「バリアフリーツアーセンターの設立について」(バリアフリーツアーセンターは、障がい者・高齢者のための着地型無料観光相談センター)の題名を用いて、2023年度においては、第7番目の研究であるふくしまバリアフリーツアーセンター、第8番目の研究である別府・大分バリアフリーツアーセンターの設立の特徴を分析した。全くタイプの違う2つのセンターを調べることができた。 (2)ふくしまバリアフリーツアーセンターの設立の特徴は、①観光庁設立後の初回の観光圏(2008年度)に認定され、行政機関(福島市)の影響が大きく、②設立されたNPO法人ふくしまバリアフリーツアーセンターの役員に旅館・ホテルのオーナーに加えて様々な障がいのある当事者やまちづくり関係者が参画したことである。 (3)別府・大分バリアフリーツアーセンターはNPO法人自立支援センター大分の内部組織として設立されたが、この団体は障がい当事者の設立によるものであり、行政の支援を余り受けずに大変に活発な活動を続けている。 (4)併せて、日本人観光客の増減の動向を統計データにより把握したが、日本人観光客はバブル最盛期の1990年前後がピークであり、その後に減少し、2010年代に回復傾向がみられたが、新型コロナ感染症流行のために近年急減した。なお観光客数は1990年後の最大値を回復していない。日本人観光客の減少に作用した要因としては、実質賃金低下の影響が大きいと考えられる。 (5)現在作業中の第9番目の長崎県ユニバーサルツーリズムセンターの設立についての分析を加えて、「観光地内協力関係」の特徴を把握し、新たにセンターを作るにはどのように地域が協力したら良いかの観点から最終報告をまとめる予定である。
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