研究課題/領域番号 |
18K11884
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
李 美花 大阪成蹊大学, マネジメント学部, 准教授 (30626289)
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研究分担者 |
尾家 建生 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (30441124)
中子 富貴子 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (80636358)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カリナリーツーリズム / フードトレイル / 観光商品 / ガストロノミー資源 / フードツアー |
研究実績の概要 |
本研究は、カナダ・オンタリオ州におけるフードトレイルの現地調査をベースにその形成と実態を分析し、地域のガストロノミーのマネジメントと創造性について明らかにすることを目的とする。 初年度は研究計画通り、海外と国内のフードトレイル実態調査(カナダ・オンタリオ州)を行い、DMOを対象にTrailの企画段階から運営までその取り組みについて研究メンバー3人それぞれの観点から分析し、その成功要因を明らかにした。 Apple Pie Trailの成功要因は、①地域に根差したオーセンティックなアイテムの活用、②会員同士の連携向上を図り、③10年間継続してフードトレイルを運営するサスティナビリティが挙げられる。そしてChocolate & Bacon・Ale Trailは、①汎用性・地域に根差したアイテム(Chocolate, Bacon, Ale)を活用、②徒歩でフードトレイル参加可能、③365日いつでも参加可能、④バウチャー(5・6枚綴り)が参加への動機づけとなり、⑤地域のオーセンティックなストーリー・テーリングが伝わった点が挙げられる。研究成果は、日本フードツーリズム学会(平成31年3月2日、第1回研究発表会)にて、「カナダ・オンタリオ州におけるフードトレイル実態調査報告」をテーマに、大阪府立大学I-siteなんばキャンパスにて3人共同で行った。さらに論文(発行日: 2019年5月、『韓国日本近代学会』「地域の食と文化資源を活用したマーケティング~フードトレイルの成功要因を中心に~」、李&中子)と国際学会(GLOSITH 2nd)にて報告を行った。 個別の研究として研究代表の李は、沖縄の「本部そば街道」、研究分担者の中子は福島県会津若松市で「会津食の陣」の事例を調査し、研究分担者の尾家はニューヨーク市への視察調査を実施した上で、論文と報告をそれぞれ行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は研究計画通り、関連の文献研究を通じて理論的考察を行った。そして研究メンバー3人それぞれの観点からインタビュー項目を作成したうえ、2018年9月9日~9月13日、カナダ・オンタリオ州へヒアリング調査(Apple Pie, Chocolate, Bacon・Ale)を実施し、その成功要因を明らかにした。 今回のフィールドサーベイにより、オンタリオ州の場合、その地域の自然・歴史・文化などをもとに独自性を引き出したストーリーテーリングを作り出し、各地域のアイデンティティーが活かされて真正性のある持続可能なフードトレイルを展開していたことが確認できた。 具体的には、まずCTAの成立ちや機能、活動、理念などが視察とインタビューを通じて理解でき、オンタリオ州内のDMOとの関係が具体的に掌握できたことが挙げられる。そして、ブルーマウンテンとストラッドフォードの地理的環境の異なる2つの地域のトレイルの実際の運営と各DMOの特性、マーケティング手法、ステークホルダーの特徴、観光商品の違いなどフードトレイルの成功事例の主要な要因を調査することができ、今後の研究目標に向けての大きな成果となった。日本のフードツーリズムとのステークホルダーの構成やフードトレイルの自律的運営などの違いは、当初、予測していたとおりであることが実証された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、3年間の研究計画のうち、フードトレイルを中心としたフードツーリズム関連の文献レビューを行った。そして、カナダ・オンタリオ州への視察調査によりフードトレイルの形成と実態を明らかにした。 2019年度には、フードトレイルの司令塔となっているDMO組織をより精査するとともに、日本の食による観光まちづくりの事例を精査し、国内と海外事例を比較研究を通じてマネジメントやステークホルダーの構成などの相違点を明らかにする。なお、本研究に関連して国際共同研究を検討し、実施する予定である。 最終的には、日本版フードトレイルのモデルを構築して提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究費として使用する予定である。
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