研究課題/領域番号 |
18K11891
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長堀 紀子 北海道大学, 人材育成本部, 特任准教授 (90372268)
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研究分担者 |
川畑 智子 首都大学東京, 人文科学研究科, 客員研究員 (90374256)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 女性研究者 / キャリア開発 / 無意識バイアス / キャリア / 女性 |
研究実績の概要 |
本研究では、大学において女性研究者が存分に活躍できる研究環境(多様性が確保されかつ尊重されている)を構築する視点から、①女性研究者のキャリア形成における無意識バイアスのインパクトを明らかにすること ②無意識バイアスに対する組織的な防止対策ならびに個人を対象とした研修プログラム開発に向けて必要な要素を明らかにすることを目的としている。平成30年度は、4月から6月にかけて質問紙調査と聞き取り調査実施に向けた調査設計を行い、7月23日に国際学会(査読・招待あり)Oxford International Round Table Symposiumsが主催するWomen and Education分科会にて研究概要および調査設計(題目: The Social Research on the Experience of Unconscious Gender Bias)について報告した。9月11日・13日に無意識バイアス防止において先行するイギリスの大学(2校)を訪問し、以下の調査を実施した。①HR(Human Resource)職員EDI(Equality, Diversity, Inclusion)担当を対象とした無意識バイアス研修について参与観察調査を実施し、担当講師1名を対象に聞き取り調査をした。②「尊厳アドバイザー」ボランティアを活用した助言・仲裁の取組み内容について、HR職員EDI担当3名およびボランティア(大学職員)3名に集団面接形式で聞き取り調査を行った。上記7月の学会報告内容は、平成30年10月よりForum on Public Policy Online, VOLUME 2018 NO 1(題目は上記報告と同じ、査読あり)において公開されている。訪問調査結果については、テープ起こしおよび翻訳を行い、データ整理中である。平成31年度中に報告および論文執筆を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学を勤務先とする女性研究者を対象に、質問紙による調査を計画し、共同研究者と共に調査の規模、対象の選び方、サンプル回収の方法、ウェブ調査の方法についての検討を行った。科研費による支援開始以降の先行研究に関する文献調査を実施し、調査仮説の作成を行った。申請時には1「女性研究者の研究継続を困難にしているものは、日常の無意識バイアスである」2「男性が女性よりも多いゼミ/職場では、日常の無意識バイアスが発生する」3「年齢層が同じ研究現場では、日常の無意識バイアスが発生する、4「指導教官が男性の場合は、無意識バイアスが発生する」という仮説をたてていたが、「指導教員の人材育成に対する方針の有無、その内容」も重要であることがわかり、これをふまえて調査項目の設計を行った。調査項目における各項目の選択肢の詳細な検討を進める中で、当初予定以上の時間がかかることが予測されたため、申請時に3年目に実施する予定であった、無意識バイアス防止において先行するアメリカとイギリスの大学の組織的な取組と効果について聞き取り調査を行い、国際比較によって日本の大学の課題を明らかにするための海外調査を平成30年度中に実施することとし、研究分担者がこれを実施した。現在データを整理中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、調査項目を完成し、ウェブ実装とテスト回答によるフィードバックと修正を経たうえで、女性研究者に対するアンケート調査を実施する予定である。その後、データの取りまとめ、データの整理を行う。また、平成32年度の実施する海外調査の計画と具体化を進める。 平成32年度には、調査結果のとりまとめ、内容をSPSSソフトウェアを用いて分析する。分析に際しては、その時点での最新の先行研究についての文献調査を行い、慎重に結果の分析をする。米国(予定)の大学への聞き取り調査を実施し、結果のとりまとめと分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に行った英国でのヒアリングについて、テープ起こしと翻訳に係る発注先を検討した結果、納期と価格の面から、平成31年度の実施した方が費用対効果が高いことがわかったため、平成31年度に実施することにした。
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