5年間の研究期間の1年目である本年は、LGBTに関するトラブルや困難に関連する事例や対応について幅広く情報を収集した。東京レインボープライドやレインボー・リール東京といった大規模なLGBT関連イベントを視察し、NPOやその他の団体、企業、教育機関、行政機関などの取り組みを調査した。また、国内外で出版されているLGBTに関する書籍を収集し、研究協力者の助力も得て内容を分析した。多数派も含めた性的指向の観点から見たジェンダー関連の人間の対人心理的な行動について、またLGBTの中でも身体的な性別に関するマイノリティである性分化疾患・インターセックスについて、考察・知見をまとめ、日本心理学会第82回大会での発表、またジャーナルへの論文掲載につながった。LGBTの関連領域である、性嗜好の多様性や性機能のトラブルについても関連研究における知見をまとめ、書籍執筆を行った。 人口中に占めるLGBT層の割合やLGBTマーケットの規模が広告代理店によって試算されており、日本国内でも企業では従業員や顧客向けの対応が急速に進んでいる。一方、教育機関での対応はやや遅れている。特に、大学におけるLGBT対応や、大学におけるLGBTセンターのあり方について、国内外の資料を集め、分析する作業に着手し始めた。2年目に向けて、大学における学生・教職員・卒業生などについてのLGBT関連のトラブルや対応、支援機関のあり方などについて、特に重点的に調査をし提案をまとめていきたい。
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