研究課題/領域番号 |
18K11894
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
水島 希 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員 (60432035)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 市民科学 / 放射能測定 / フェミニズム科学論 / ジェンダーと科学 / 新マテリアル・フェミニズム / コロナ禍の女性 |
研究実績の概要 |
本研究は、女性の生活という立場から科学技術の有り様を議論するフェミニスト・スタンドポイント(FSP)アプローチを用いてチェルノブイリ原子力発電所以降に日本で行われてきた放射能市民測定運動を分析し、女性らの測定実践が果たしている社会的役割と、日本社会における放射線をめぐる「科学」の在り方を 検討することを目的としている。3年目となる本年度は、ベルギーの共同研究者らと、放射能市民測定の歴史的背景、及び現在の国際動向を踏まえた日本における「市民科学」の受容に関する論文を執筆、出版した。 本年度はコロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初行う予定であった各地放射能測定室の訪問、関係者インタビューが実施できなかった。一方で、コロナ禍の中、市民放射能測定と類似した女性らによる科学活動として、手作り布マスクの制作という動きが見られた。そこで、「災害時における女性たちの対応と科学技術」という枠組みから、コロナ禍におけるマスク制作活動を分析し、さらにそれを(女性が多く関わっている)市民放射能測定運動へと広げる試みを行なった。コロナ禍におけるマスク制作のジェンダー分析に関しての論文(日本語、共著、査読なし)を出版し、放射能測定―マスク制作のジェンダー分析論文を現在投稿中である(英語、共著、査読中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はコロナ禍の影響を受け、フィールドワークがほぼ実施できなかった。そのため、ニューズレター、報告書、新聞記事等を中心としたサーベイ、及び、理論研究を中心に実施し、研究成果公表に力を入れた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度には、本来であれば国際学会にて発表を行い議論を深める予定としており、また、最終年度のまとめとして、原発事故後の放射能問題や市民測定活動にかかわる女性測定者・活動家らを招聘した研究会およびワークショップ等を実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、昨年度末以降、海外渡航だけでなく、対面をともなう調査や、研究会等の実施が困難な状況にある。 一方で、チェルノブイリ原発事故後から活動を続けている方は高齢になってきている事もあり、なるべく多くの聞き取り調査を実施する必要がある。本年度はオンラインによるインタビュー調査を計画し、また、最終年度として研究成果の出版に力を入れる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行の影響により、国際学会発表、国際ワークショップ開催、国内でのフィールド調査の実施が困難となったことから、次年度使用額が生じている。オンラインによる聞き取り調査を予定しており、対面での調査が可能となった場合は対面での実施を行う計画である。
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