研究課題/領域番号 |
18K11898
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 葉子 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (60613982)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 買売春 / 公娼制度 / 人身売買 / 廃娼運動 / キリスト教 / モーリス・グレゴリー / 売春防止法 |
研究実績の概要 |
2018年度は、国内での史料調査を進めつつ、当該研究課題についての研究発表を3件行った(国際学会1、国内学会1、国内研究会1)。また、同課題についての講演を2つ行った。 国際学会(International Federation for Research in Women's History)での発表は、“Maurice Gregory’s Visit to Japan and Its Impact on Japanese Movement against Licensed Prostitution” と題し、日本における廃娼運動に決定的な影響を与えたキーパーソンの一人であるMaurice Gregoryの足跡について、日本とイギリスの史料から明らかにするものであった。本発表は、買売春政策と人身売買禁止運動についての国際比較をテーマとするセッションに参加して行ったものであり、日本での状況について他国からの参加者に伝えるとともに、他国との歴史的な相違について、意見交換を行うことができた。 国内学会(政治思想学会シンポジウム)では、「性管理政策としての公娼制度とその存廃をめぐる論争」と題する発表を行い、近代公娼制度を「買売春政策」よりもさらに大きな「性管理政策」の一環として捉え直すことによって、近代の統治権力が公娼制度を通じて当時の人々の性をどのように変容させていったかを明らかにすることができた。 国内研究会(同志社大学人文科学研究所)および講演(慶應義塾大学大学院法学研究科、同志社大学フェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センター)においては、日本の買売春政策の最大の転換点である売春防止法制定までの流れを視野に入れて、近代公娼制度とその存廃をめぐる論争について概説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内での史料調査を進める中で、本研究課題についての重要な史料を数多く収集することができたため。 また、研究成果の一部について、国際学会および国内学会で発表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は主に国内での史料収集と学会発表に力を入れたが、2019年度以降は、それらの成果をもとに、論文等の執筆を進めたい。 また、2019年度以降は、海外(主にイギリスおよびアメリカ)での史料調査を実施し、国内で収集した史料と照らし合わせて分析を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に使用する予定だった史料調査用の旅費が、計画していたよりも少額になったが、その分を、2019年度に実施予定の史料調査用旅費の一部として使用したい。
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