研究課題/領域番号 |
18K11899
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宮地 歌織 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 客員研究員 (40547999)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢者 / 女性 / ジェンダー / ケニア |
研究実績の概要 |
2018年に引き続き、ケニアにおける女性高齢者を対象とした調査研究を実施した。農村のインフォーマントの女性高齢者の中には、病気が深刻化した際に出稼ぎ先の娘の家に移住をしたり、独居状態だった高齢女性の家にシングルマザーの孫娘が赤ちゃんと一緒に戻ってきたりと、様々な生活環境の変化がある。また、ケニアにおいては高齢者に向けての年金(現金給付)制度が始まっているが、まだそれら福祉サービスを受けることができていない者も多い。さらに地域の医療サービスについても、母子保健に関しては様々なサービスが提供されているものの、高齢者に対するケアの少なさが調査より浮き彫りとなった。しかしナイロビなどでは、増加する高齢者に対し、セルフ・ヘルプ・グループの活動や、国際機関の援助も始まったりしている。 2019年度は、これまでの調査成果について国際学会や研究会での発表を行った。また他国における調査研究を行っている他分野の方々の研究会にも参加をし、さらなる共同研究の可能性も深まった。また、ケニアの首都ナイロビにある高齢者研究に関する国際機関(APHRC、HelpAge International)とも連携を進めるなど、ケニアにおける調査研究は順調に進んでいる。 またこれまでは東アフリカのケニアにおける調査研究を主体としてきたが、2019年8月に横浜で実施された「日本アフリカ開発会議(TICAD7)」において、今後のアフリカにおける高齢者に関する課題についてのセッションが開かれるなど、「アフリカ健康構想」も開発の一つのテーマになることが予想されている。そのような背景も踏まえ、日本における介護状況との比較、アフリカにおけるさらなる高齢者に関する情報収集や文献研究も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、東アフリカのケニアと西アフリカのナイジェリアでの調査研究を行うことを柱としているが、3月の出張が延期となり、ナイジェリアについては予定通りに調査研究を進めることができなかった。今後は調査手法について検討し、現地のカウンターパートとも協力しながら、女性高齢者のケアに関する研究を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については、ケニアならびにナイジェリアについて、現地のカウンターパートの研究者とメールやそのほかのメディアを使っての連絡を取りながら、調査方法についての再検討を行う。予定としては、ナイジェリアでの現地調査を実施し、ケニアではフォローアップ調査を実施する。両国における研究機関とも連携をしながら、女性高齢者のケアに関する比較研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に出張を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で出張延期を余儀なくされた。2020年度は本科研の最終年度として、ケニアでのフォローアップ調査も行う予定である。渡航先のアフリカにおける安全や治安等も考慮しながら、研究調査方法も検討しつつ、最終年度としての研究成果をまとめる。
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