本研究では急速に進むと予測されるアフリカにおける高齢化に関して、特に女性高齢者に焦点をあて、ケアの現状について実態解明を行うことを目的とした。コロナ禍の中、当初予定をしていたフィールドワークについては、ケニアのみの調査となった。ただし、短期間ながらも都市部・農村部における女性高齢者の状況把握の調査が可能となった。 ケニアでは2018年より高齢者への現金給付が開始されているものの、都市部ではコロナ禍の影響を強く受け、失業等のためより貧困になるケースなどがみられた。また農村部では、もともと農業が主体であるが、出稼ぎに行っている息子や娘からの送金が無いことで、生活用品に困る高齢者もいた。また農村では家族、とくに女性がケアの担い手となっていることや、医療体制が整っていない(保健分野は母子保健が中心)であることが明らかになった。 これまでの調査結果は、国際学会、国内での学会などで発表を行い、海外でのジャーナルにも掲載をされた。また引き続き、本調査結果は国際学会で発表予定となっている。 本研究終了後も、ケニアの保健省をカウンターパートとし、引き続き調査等を実施予定である。その他にもアフリカの研究機関(APHRC)や高齢者関係の国際NGO(HelpAge)などの機関とも連携する体制が整ったこともあり、今後は、政策提言なども行っていく予定である。
|