研究課題/領域番号 |
18K11900
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
森田 豊子 鹿児島大学, グローバルセンター, 特任准教授 (10791113)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イラン / ジェンダ― / 家族保護法 / イスラーム / 子どもの権利 |
研究実績の概要 |
本年度は、2018年11月15日~27日に、イランのテヘランおよびイスファハンで調査を行うことができた。この調査では、第一に、家族保護法、子どもの権利や子どもが置かれている現状についての書籍を購入する他、イランの国会でまとめられた「国会議事録資料-女性と家族問題」の8巻シリーズのDVDを購入することができた。これらを分析することによって、イランの子どもの権利についての現状および、これまで民法や家族保護法の成立において、国会でどのような議論が行われたかについての分析が可能となる。第二に、特にイランにおける子どもの保護に関わるNGOや施設での見学ができた。「イラン子どもの権利保護NGO」とイスファハンの民営の児童養護施設である。2018年末に「子どもと若者保護法」が成立し、子どもをどのように法的に保護するのかについての議論が活発化しているところである。本研究の目的である家族保護法における子どもの後見、監護権を理解するためにも、これらの議論を追っていくことは重要なことであると考えられる。第三には、調査の当時に「子どもと若者保護法」作成に関わっているイランの法律雑誌編集者へのインタビューを行った。彼女は、イランで法律を作成する際のイスラーム法との折り合いのつけかたの難しさなどについてお話いただき、家族保護法だけではなく、今後準備される予定の女性へのDV防止法の議論においても重要な論点を提供してもらった。これらの調査の成果は、来年度5月11日、12日に秋田大学で開催予定の日本中東学会における企画セッション「ムスリム社会における弱者の権利」での発表などにもつながる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は予定通り、イランでの現地調査を行うことができた。現地での資料収集の他、NGOや施設の視察、インタビュー調査を行うことができた。これらの資料収集や現地での調査活動の結果をもとに、来年度5月に予定されている学会報告や編著の準備を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
【2019年度予定】 イランでの現地調査では、イランにおける統計資料の収集の他、イラン国会調査部などから発行されている最新の議論についての論文などの収集を行う予定である。イランの民法研究者などにも協力をお願いし、家族保護法成立後5年以上が経過しているイランの家族の現状についての調査を行う。また、この年度では5月11日、12日に開催される日本中東学会で企画セッション「ムスリム社会における弱者の権利保護」で発表を行う予定である。また、現在、17名に原稿をお願いし、ムスリム社会の結婚についての本を編集しているが、この年度に出版を予定している。 【2020年度予定】 最終年度では、特にイランの弁護士会やNGOにおけるアドボカシー運動についての調査を行う予定である。インタビュー調査などを通じて、家族保護法の後、子どもや女性の虐待防止のための法律をどのように成立させ、運用していこうとするのかについて、具体的な運動についての理解に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の調査において、現地でのコーディネーターをお願いする予定であったが、今回は特にコーディネーターなしでも調査が可能となったことから、人件費を使用することがなかった。現地でのコーディネーター、また、必要な図書、および物品については、来年度もまたイランへの渡航を予定していることから、その時の調査で使用する予定になっている。
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