研究課題
杉村はイギリスの写真雑誌Picture Postまた、Girl’s Own Paperを中心に制服着用の女性とそのキャリアの表象について調査を進めた。平塚はアメリカのLIFE、女性誌Ladies’ Home Journal(LHJ)、また人種による差異を比較するため、JET Magazine(1951年創刊)の分析に着手した。池川は、第二次世界大戦時、また戦後の日本映画より、軍隊、警察官などの制服を身に付けた女性の表象を抽出し、女性の社会進出の状況を踏まえ、考察した。以上について、LHJ の表象研究で実績のある松崎洋子(敬和学園大学名誉教授、共著『軍事主義とジェンダー』)を研究協力者、コメンテイターとして迎え、2回の研究会において、比較検討を行い、以下の国際学会にて成果発表を行った。International Federation for Research on Women's History(IFRWH)2018年大会(2018年8月 バンクーバー)、“Are They Deviants From Femininity?: Women in Uniform in Wartime Mass Media of U.S.A., UK, and Japan.”と題したパネルにおいて、全員による研究報告を行った。杉村は“Cover Girls or Efficient Working Women?: Women in Uniform during WWII Represented in British Popular Magazines”と題し、第二次世界大戦時、また戦後に軍隊や警察で活動する制服の女性たちを取り上げた。平塚は“Ambiguous Deviance From Femininity: American Women in Uniform in American Magazines During World War II”と題し、戦時中の制服の女性表象の傾向を踏まえ、主にアフリカ系アメリカ人をターゲットにした戦後のJET Magazineと比較検討した。池川は“Pretty Women in Uniform in Japanese Cinema during the Wartime and Occupation Eras”にて、終戦間際に現れた通信兵、そして戦後に導入された女性警察官を取り上げ、女性活用とその表象について考察した。
2: おおむね順調に進展している
各自の担当の資料についての収集・分析は概ね計画通りすすんでいる。また、共同研究として国際学会にておいて研究成果を報告することができた。
2019年度においても各自、研究をすすめ、定期的に研究会で国際比較を進める。池川の映画分析と有効な国際比較ができるよう、杉村、平塚は、戦後の映画における制服を身に付けた女性とそのキャリア表象についても資料収集・分析に努めたい。最終年度である2020年度に、全体の成果報告をどのような形で発表するかミーティングを持ち、計画する。
平塚に旅費として配分していたものが他の研究費より支出することができたため。また、これについては次年度の旅費として使用する予定がある。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
科学研究費成果報告書 基盤研究B 2016-2018年度 戦争と慰問文化-慰問の実践とシステムに関する文化史研究-
巻: 1 ページ: 29-39