研究課題
2021年度の研究ではCOVID19の影響により海外調査が不可能であったため、すでに渉猟した史料やインタビュー調査の結果の分析、ならびに文献研究を行った。エチオピアにおける調査において渉猟した女性兵士に関する資料の翻訳や分析を進めた。またエチオピアについては2020年11月から調査地のティグライ州が戦争に陥るなど新しい展開が生じた。ティグライ戦争には新たな女性の動員や戦時性暴力の発生など本科研課題と関係する新たな問題も生じており、この動向についても調査を新たに開始した。ティグライ戦争に関する情勢分析も行うことになりいくつか論考を執筆した。また4年間の研究成果の一つとして、エチオピアと南アフリカの女性兵士を取り上げた英語論文を執筆し刊行した。エチオピアと南アフリカ、1970年代~80年代にかけて同時代に女性兵士が解放闘争に参加したが、その参加の動機や組織における女性の役割、国際的な支援の在り方などの点で多くの相違があることも浮き彫りになった。エチオピアの事例は地域限定的であるのに対し、南アフリカの反アパルトヘイト闘争は規模の相違があることも背景にはあるが、比較分析を通じて女性が解放闘争内部で行った貢献が内戦中に限定されず、紛争終結後の国家再建において女性がそのエージェンシーを発揮している点には共通項も見出すことができた。4年間の研究期間中、海外調査の限定などで当初予定していた研究計画通りに進展しなかったことが課題として残った。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
外交
巻: 70 ページ: 120-123