2018年春からドイツの父親ないし男性の支援組織の関係者に取材するのと同時に、乳幼児や未就学児のいる家族の現状や課題、両親休暇制度(日本の育児休業制度に相当)の運用の実態を探るため、ドイツの代表的な連邦州、ノルトライン=ヴェストファーレンをはじめ、ベルリン、バイエルン、ハンブルクに住む多様なかたちの家族(移民の背景を持つ・持たない同性・異性愛カップルとひとり親)に聞き取り調査を行った。現実や性別分業規範の変化に加え、両親休暇制度の後押しにより、育児・家事にコミットする父親は、もはや珍しくない存在であることは分かった。また、父親の育児・家事への関わりは、父親と母親の考え方、両者の職場の状況にも大きく左右されることがうかがわれた。 今後は日本でも同様の調査を行い、結果を比較対照しながら、二つの国の違いだけでなく、共通性についても見ていきたい。それによって、働き盛りの男女がともに、仕事ばかりでなく育児と家事に関わることのできる「持続可能な社会」を構想する上での手がかりにしたい。
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