研究課題/領域番号 |
18K11910
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20584098)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 貧困 / ジェンダー / 世帯 / 婦人保護 |
研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、女性福祉の運用実態とその問題点を把握し、望ましい女性支援のあり方を提示することである。女性福祉の中核をなしてきた婦人保護事業については、2018年から2019年にかけて、厚生労働省で見直しの議論が行われた。今年度はこれらの議論の把握を行うとともに、この見直しが実施されることが女性福祉の現場にどのような影響を与える可能性があるか、大阪府の現実を調査した。また、それらの議論の参考となるよう、買売春を犯罪化する法を2016年に制定したフランスの法制度と実態、および買売春を非犯罪化しているオーストラリアの法制度と実態について、それを研究している研究者と意見交換を行った。 本研究の第二の目的は、「世帯のなかに隠れた貧困」について、その実態を把握するとともに、それをとらえるための貧困把握の方法の開発を行うことである。今年度は、「世帯のなかに隠れた貧困」の原因になっている、世帯内部の資源配分の不平等をとらえようとしている日本と英語圏の研究について、整理する論文を執筆するとともに、日本の研究状況について国際会議で報告を行い、国際的なネットワークの形成につとめた。また、「世帯のなかに隠れた貧困」の実態を把握するために、シングルマザーを対象に婚姻時の金銭状況をたずねる調査を行ったほか、「世帯の中に隠れた貧困」を悪化させている現行の法制度の問題を把握するために、弁護士を対象に聞き取り調査をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、海外調査ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後のコロナウィルスの影響を見ながら、海外調査実施の可能性を見極め、2020年度に実施が困難な場合には、研究期間を1年延長することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルスの影響により、海外調査を実施できなかったためである。 買売春をめぐる諸外国の法制度と実態について、2020年度に海外調査を実施することが困難な場合は、研究期間を1年延長することも検討する。 2020年度には、おもに下記の2点に力を入れる。1点目は、2018~2019年度に厚生労働省で行われた婦人保護事業の見直しの議論の今後の展開を把握するとともに、制度改正が女性福祉の現場にどのような影響を与えるのかを把握するための調査を実施する。 2点目は、「世帯のなかに隠れた貧困」について、日本にある世帯内部の資源配分をとらえられるパネルデータを分析する。また「世帯になかに隠れた貧困」の実態を把握するために、シングルマザーやその支援に関わる人を対象に、聞き取り調査を行う。
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