研究課題/領域番号 |
18K11910
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20584098)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貧困 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、女性福祉の運用実態とその問題点を把握し、望ましい女性支援のあり方を提示することであった。女性福祉の中核をなしてきた婦人保護事業については、今年度、その根拠法であった売春防止法から女性支援の部分であった婦人保護事業のみを切り離し、新たな女性支援法に位置付ける方向で、法案化の議論が大きく進んだ。今年度はそれにともなって行われたメディアでの議論や、女性福祉の現場の支援者たちの間の議論について、情報収集を行った。 本研究の第二の目的は、「世帯のなかに隠れた貧困」について、その実態を把握するとともに、それをとらえるための貧困把握の方法の開発を行うことであった。今年度は、世帯内部の資源配分を実証的に明らかにした日本語と英語圏の先行研究を整理し、英語論文として発表すべく執筆を進めた。また、「世帯のなかに隠れた貧困」の実態を把握できる日本でほぼ唯一の量的データである「消費生活に関するパネル調査」の分析を、EU圏の同様のデータ分析の経験が豊富なGlasgow Caledonian UniversityのSara Cantillon教授と共同して行うために、メールや数度のオンラインミーティングで情報交換や進め方について話し合い、関係者間で共同研究を行うなど、準備を進めた。3月からはグラスゴーに渡航し、データクリーニングや実際の分析を担う英国の若手研究者とともに、定期的にミーティングを行い、分析に着手しはじめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、当初予定していた海外調査ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
た今年度は、1月まで英国グラスゴーに滞在し、「世帯のなかに隠れた貧困」を実証的に把握するための共同研究を進める。その期間中、可能であれば海外調査を行う。 また、女性支援法の法案が今年度中に可決する見通しのため、それにともなって行われるメディアや市民、支援者の間の議論の情報収集を行うとともに、新法が可決されたあと、女性支援の現場にいかなる影響がもたらされるかについて調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた海外調査および国内調査ができなかったため、残額が生じた。今年度は、1月まで英国グラスゴーに滞在する予定のため、その共同研究に残額を活用するほか、その期間中に可能であれば海外調査を進める。
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