研究課題/領域番号 |
18K11911
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研究機関 | 四国学院大学 |
研究代表者 |
大山 治彦 四国学院大学, 社会福祉学部, 教授 (70321239)
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研究分担者 |
大束 貢生 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20351306)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SOGI / LGBTQ / オンブズマン / スウェーデン / RFSL / HBT認証 / 人権 / 差別 |
研究実績の概要 |
文献調査として先行研究のレビューを行うとともに、次の現地調査等を実施した。①「平等オンブズマン」において、SOGIに基づく差別を担当している職員等への面接調査と、施設見学。②「性指向オンブズマン」の中心的存在であったHans Ytterberg氏への面接調査、③「RFSL」の代表であるSandra Ehne氏への面接調査と、施設見学。 現地調査によって得られた知見は、次のようなものであった。①「平等オンブズマン」のとりくみについて、その概要や活動の実際について明らかにすることができた。かつて差別に関するオンブズマンは領域ごとに4つ存在していた。しかし、「平等オンブズマン」に統合されたことにより、改善された部分があることがわかった。それは、まず新たに性自認や年齢などの領域もカバーされるようになったことや、差別が複数の領域におよぶケース(例えば、障害のある高齢者のレズビアン)に対して、ワンストップで総合的に、調査や救済等が行われるようになったことである。②1999年から約8年間存在した「性指向オンブズマン」の組織や活動、その意義について、多くの知見を得ることができた。とりわけ、SOGIに基づく差別の撤廃、人権保護や擁護等を専門に担当する機関が政府内に存在したことの意義についての理解を深めることができた。このように、①と②の調査の結果から、今後のわが国におけるSOGIに基づく差別の撤廃、人権保護や擁護等に関するとりくみへの示唆を得ることができた。③LGBTQの当事者団体である「RFSL」について、そのミッション、組織や歴史などについて、理解を深めることができた。とりわけ、LGBTQが可視化されているがゆえに生じる新しい問題、すなわち、ヘイトクライムやエスニシティによる格差等について、認識することができた。 研究の成果は、一般書籍において、その一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に予定していた現地調査は概ねて実施することができた。また、2019年度の調査につながる準備も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(2019年度)は、引き続き、文献研究を進めるとともに、2018年度の調査をふまえ、次の現地調査を実施し、分析、考察を行う(調査地:ストックホルム他)。①「RFSL」において、「HBTQ認証」を担当する職員、および年齢やエスニシティに特化したとりくみを担当する職員等への面接調査、②「HBTQ認証」を受けた公共施設等において、担当する職員等への面接調査。 そして、これまでの研究成果を、学会大会にて報告を行う(日本社会学会、日本ジェンダー学会等を予定)。また、引き続き、一般向けには、書籍等で発表をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
【大山治彦への配分について】物品費について、必要な物品を他の資金によって購入することができたため、科研費で支出する分を節約することができた。繰り越し金は、来年度(2019年度)において、不足後予想される、旅費や人件費・謝金等に充当する。 【大束貢生への配分について】残金が1万円未満であることから、ほぼ予定通り支出であったと考えている。繰り越し金は、次年度の物品費等に充当する。
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