2年間の期間延長を行なったため、今年度(2022年度)が最終年度であった。引き続き文献調査として先行研究のレビューを行うとともに、スウェーデンにおける現地調査の結果をふまえた総合的な考察を行なった。そのために、対面の研究会(1回)のほか適宜、リモートにて、議論を行なった。なお、すでに、必要な資料は収集されたと思われたので、追加の現地調査は行わなかった。 本研究の成果は、大山が、第29回家族社会学会大会シンポジウム、および第95回日本社会学会大会の一般報告にて、口頭で発表した。家族社会学会大会における報告は、本研究などからの派生した研究(スピンオフ)であり、SOGIの視点、SOGIの主流化の必要性などについて論じたものであった。一方、日本社会学会の報告は、性教育や性的人権、、HBT(LGBT)の人権問題に長年取り組んできたRFSL(スウェーデン性教育協会)について概括したものであった。また、大束が、テーマに関連した論文を執筆した。そして、本研究の成果は、関連する科研費研究(26570018、15K01935、18H00937)の成果とともに、2022年11月に、『男性危機―国際社会の男性政策に学ぶ―』(晃洋書房)として出版することができた。このほかに、広く国民に対して成果を還元するために、大山が性教育雑誌『季刊セクシュアリティ』に、RFSUの活動やその意義、歴史、および義務教育における性教育を中心に、スウェーデンの性教育のあゆみについて概観する記事を執筆した。 今後も、スウェーデンにおけるSOGIに基づく差別の撤廃、人権保障や擁護等に関するとりくみについて、研究を深化させるつもりである。とりわけ、RFSUやRSFLのようなNGOの果たしている役割や、行政との協働について、焦点をあてたいと考えている。
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