本研究において、男女共同参画が今ひとつ推進しきれていないのは、「家父長制」と「性別役割分業」のイデオロギーがいまだに根強く存在していることが原因となっているということがわかった。船社の組織内で性別役割分業のイデオロギー解体に向けて男性船員の意識を啓発することは、必然的に男女共同参画への意識が高まることにもつながり、性別役割分業の意識が少しずつでも解体されていけば、女性船員は、出産後の育児や家事労働のために船員業からの離職を余儀なくされることもなくなる。W L Bの取組みという意味では、海運業界は、方策の工夫と意識の啓発次第で社会における既成概念を根底から覆す刷新的業界にもなり得るのである.
|