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2019 年度 実施状況報告書

チェレンコフ光計測による非破壊ビームモニターの原理実証

研究課題

研究課題/領域番号 18K11915
研究機関東北大学

研究代表者

南部 健一  東北大学, 電子光理学研究センター, 技術専門職員 (00422072)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードチェレンコフ放射 / 非破壊ビーム診断システム / ビーム位置モニター
研究実績の概要

電子ビームが誘電体近傍を通過するときに放射するチェレンコフ光を用いた、非破壊ビームプロファイルモニターの原理実証と、本原理を応用したビームプロファイルモニターシステムの構築を目指して研究を行っている。
電子が誘電体近傍を通過する際に放射するチェレンコフ光の強度は、放射されるチェレンコフ光の波長と電子のエネルギー及び誘電体と電子の間の距離に依存することが知られている。前年度に中空誘電体として屈折率が1.03のシリカエアロゲルを用いた実験装置を構築しビーム試験を行った。チェレンコフ光の観測には成功したものの、チェレンコフ光の輝度が小さいという課題があったため、本年度は、輝度向上のため中空誘電体の開発を行うとともに、ビーム位置測定精度の検証を実施した。東北大学電子光理学研究センターの試験加速器t-ACTSで原理実証実験を行う場合、観測波長はテラヘルツ帯域となるため、中空誘電体の候補としては、テラヘルツ帯で透過率が高いと考えられるポリメチルペンテン、高密度ポリエチレン、フッ素樹脂等が考えられる。そこでテラヘルツ分光装置 (TAS7500TS)を用いて、これらの透過率測定を実施した。得られた結果から、原理実証実験に用いる中空誘電体としては高密度ポリエチレンが最適であると判断し、測定結果をフィードバックして中空誘電体の設計を開始した。
本研究で開発しているビームモニターは、観測したチェレンコフ光を方位角積分し、得られた輝度分布をカップリングファクターと呼ばれる、観測波長、電子のエネルギー、誘電体と電子の間の距離の関数を用いて、ビーム位置を決定する。ビームサイズや中空誘電体内でのビーム位置により位置精度が変化すると考え、シミュレーションによりその影響を評価し、ビームサイズが100μm程度であれば位置精度は既存のボタン電極等を用いたビーム位置モニターと同等程度であることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

中空誘電体の設計に必要なパラメータを得ることができたことと、本測定システムのビーム位置測定精度の見積もりを行い、既存のビーム位置モニターに肉薄する測定精度を有していることが示唆されたため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

高密度ポリエチレン製の中空誘電体を用いて原理実証実験を行う。またこれらと並行して本測定システムをレーザープラズマ加速器(LWFA)のビーム診断に適用するための検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

ビームの位置とエネルギーを同時に測定できる可能性があることから、その実現可能性を探るために、当初計画していたビーム実験に用いる真空容器の製作を延期したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は予定通り真空容器の製作に使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Measurement of Cherenkov Diffraction Radiation from a Short Electron Bunches at t-ACTS2019

    • 著者名/発表者名
      S. Ninomiya, H. Hama, F. Hinode, K. Kanomata, S. Kashiwagi, S. Miura, N. M. Morita, T. Muto, I. Nagasawa, K. Nanbu, H. Saito, K. Takahashi, H. Yamada
    • 雑誌名

      Proc. 10th Int. Particle Accelerator Conf. (IPAC'19)

      巻: - ページ: 2536-2538

    • DOI

      https://doi.org/10.18429/JACoW-IPAC2019-WEPGW031

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Development of Beam Position Monitor Using Cherenkov Diffraction Radiation2019

    • 著者名/発表者名
      K. Nanbu, H. Hama, F. Hinode, S. Kashiwagi, and T. Muto
    • 学会等名
      8th Int. Beam Instrumentation Conf. (IBIC'19)
    • 国際学会
  • [学会発表] t-ACTS における中空誘電体からのチェレンコフ光の測定2019

    • 著者名/発表者名
      南部 健一,日出 富士雄,柏木 茂,武藤 俊哉,齊藤 寛峻,森田 希望,山田 悠樹,鹿又 健,髙橋 健, 長澤 育郎,柴田 晃太朗,三浦 禎雄,濱 広幸
    • 学会等名
      第16回日本加速器学会年会
  • [学会発表] Measurement of Cherenkov Diffraction Radiation from Short Electron Bunches at t-ACTS2019

    • 著者名/発表者名
      S. Ninomiya, H. Hama, F. Hinode, K. Kanomata, S. Kashiwagi, S. Miura, N. M. Morita, T. Muto, I. Nagasawa, K. Nanbu, H. Saito, K. Takahashi, H. Yamada
    • 学会等名
      10th Int. Particle Accelerator Conf. (IPAC'19)
    • 国際学会
  • [備考] 東北大学電子光理学研究センター加速器ビーム物理研究部

    • URL

      https://www.lns.tohoku.ac.jp/research/abpg/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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