研究課題/領域番号 |
18K11918
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 峻介 京都大学, 化学研究所, 助教 (40724711)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 高強度レーザー / 短パルス電子源 / 高強度電子源 |
研究実績の概要 |
高強度短パルスレーザーを物質に照射すると、エネルギー密度の高いレーザープラズマが生成される。このレーザープラズマを利用した高エネルギー粒子加速や、超短パルス放射光発生、高速点火核融合などに関する研究が精力的に行われている。これらのレーザープラズマを媒介とした物理現象は、高強度短パルスレーザー光により瞬時に作り出される非常に強い電磁場で加速される、電子の運動を起点として発生する。このため、この電子の挙動とプラズマの振る舞いを高い時間・空間分解能で調べることは重要である。本研究課題では、電子運動により作り出され、100fsの時間スケール変化する超高速過渡電磁場を観察するための、時間分解ラジオグラフ測定の実証を目的としている。 これを達成するため令和1年度は、超高速過渡電磁場を観察するために必要な、高輝度短パルス源の高安定化を実施した。前年度までに、パルス幅が50fsを下回る極めて短パルスな電子源を得ることに成功していた。この電子パルスを用いて超高速過渡電磁場を観察するためには、パルス幅が短いだけではなく、長い時間にわたってそのパルス幅を維持しつつ、同じタイミングで観察対象へと到達しなければならない。すなわち、タイミングジッターがパルス幅と同程度まで小さいことが要求される。本年度はタイミングジッターを高精度に測定するための手法を新たに開発し、本手法を用いて長い時間にわたってタイミングジッターを測定し、その結果をもとにジッターを安定させるための装置の改良を実施した。数時間にわたってジッターが15fs以下になる極めて安定な電子源の開発に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の申請当初の計画では、超短パルス電子源を用いた電場測定を実施するはずであった。電子パルス源の長時間安定性にかかわる問題が新たに発覚し、この問題を解決することが必須であったため、電場測定が十分に実施できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題における令和2年度以降の研究計画は、時間分解ラジオグラフ測定法によるレーザープラズマ相互作用生成電磁場の高時間分解測定であった。短パルス電子源にかかわる問題が解決されたため、当初の計画通り、短パルスレーザーによって生成される過渡電場測定を実施する予定である。
|