研究課題
水の中に打ち込んだイオンが形成する化学状態を明らかにするために、ベータ線検出核磁気共鳴(β-NMR)法による精密分光を行った。これまでに、短寿命核17Nビームを用いてβ-NMR分光を行い、水の中に打ち込んだ窒素イオンが少なくとも2種類の化学種を形成することを発見した。1ppmオーダーの高分解能NMRスペクトル測定を実現するために、パルスNMR技術の適用、静磁場一様性の改善、および高感度カメラによるビーム停止位置モニターの導入に取り組んだ結果、測定効率とスペクトル分解能を格段に向上させることができた。これにより、化学シフト参照試料の探索のために、様々な窒素化合物水溶液および溶媒試料中の17Nスペクトルを測定することができ、窒素置換を示唆する液体試料として、シアン化カリウム、亜硝酸ナトリウムおよびアンモニアの水溶液が有望であることがわかった。2021年度は、シムコイルを導入して静磁場一様性を高めることに成功した。これにより測定効率を前年度よりも約1.5倍向上させることができた。これまでに発見した2本の共鳴線のうち、低周波数側のピークについては、17N核と水素核1Hによるスピン-スピン結合により分裂していることがほぼ明らかになってきた。これは水に打ち込んだ窒素が水素と化学結合状態を形成していることの明確な証拠となる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Hyperfine Interactions
巻: 243 ページ: 1, 1-7
10.1007/s10751-021-01789-5
巻: 242 ページ: 49, 1-7
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令和二年度「短寿命RIを用いた核分光と核物性研究VII」研究会報告書
巻: KURNS-EKR-13 ページ: 37-40
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令和二年度「短寿命 RI を用いた核分光と核物性研究 VII」研究会報告書
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http://nucl.phys.sci.osaka-u.ac.jp