研究課題/領域番号 |
18K11921
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤乗 幸子 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (50197844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | パルスラジオリシス / 過渡吸収 / 過渡ラマン / 活性中間体 / 量子ビーム誘起反応 / 電子線 |
研究実績の概要 |
ナノ秒電子線パルスラジオリシス時間分解拡散反射分光システムの設計および構築を進めた。従来の透過型パルスラジオリシスではモニター光と電子線ビームを直交させていたのに対し、反射型では同平面上45度で入射させなければならない。モニター用光源Xeランプが固定されているために、新たにモニター光誘導の光学系を作製した(光学部品等を本研究費で購入)。フラッシュモニター光による試料劣化を防止するため、測定に応じてXeランプパルスジェネレーターのフラッシュ電流を可変する機能を追加、および繰返安定性の向上のための改造も行った。懸濁溶液試料フローシステムの作製を行った。フロ―型石英セル(光路長1mm)の作製を行った。電子線パルスの繰り返しに応じたフローポンプによる流量コントロールを可能とした(ポンプ部品を本研究費で購入)。パルスラジオリシス時間分解拡散反射分光システムの最終動作確認を進めており計画とおり進行している。なお微弱拡散反射光誘導用特注光ファイバーは未納入、次年度購入予定である。 電子線パルスラジオリシス過渡ラマン分光システムにおいて、コントローラーの大幅な改造を行なった(本研究費で遂行)。不均一系試料に対応したプローブレーザー光強度を自動可変させる機能を構築し、またレーザーと電子線とのタイミングディレイの繰り返し安定性を向上させた。遠隔操作による試料ポジション決定機能を構築した(光学部品等を本研究費で購入)。従来の溶液型からナノ粒子分散試料への測定試料の拡充を進めた。ナノ粒子分散系でのパルスラジオリシス過渡ラマンの測定を試みたところ、ナノ粒子の量子ビーム誘起還元過程の検出に成功した。量子ビーム誘起生体関連化合物短寿命活性中間体の二量化過程の検出に成功した。金属酸化物ナノ粒子およびその懸濁液の作製、評価も順調に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度研究スケジュールに記していた電子線パルスラジオリス時間分解拡散反射分光システムにおいて、光学系、測定系の高効率集光・高感度検出器システムが完了した。検出波長領域の紫外~可視から近赤外領域への拡張も完了している。オートサンプルチェンジャーの作製は進行中である。電子線パルスラジオリス過渡ラマン分光の高度化が終了し、不均一系試料の過渡ラマン散乱の検出にも成功している。不均一反応場における量子ビーム誘起反応初期過程の評価も進める予定であり、おおむね計画とおりに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後作製した金属酸化物ナノ粒の懸濁液、ゾルゲル、高分子材料、生体模擬材料に基質の分散を行い、不均一反応場における量子ビーム誘起反応初期過程の評価に加え、基質による不均一反応場量子ビーム誘起反応活性中間体の評価を進める。電子線パルスラジオリシス時間分解拡散反射分光での過渡吸収測定に加え、電子線パルスラジオリシス時間分解ラマン分光による不均一反応場量子ビーム誘起活性中間体の振動構造を明らかにし、不均一反応場が活性種に及ぼす影響を分子振動レベルで明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度購入を予定していた特注光ファイバーの発注が遅れ、未購入になったため次年度使用額が生じた。
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