研究課題
本研究では、熱外中性子を効率良く偏極して用いるための、熱外中性子の偏極技術開発およびその実用化に関する研究として、熱外中性子を安定に且つ効率良く偏極させることができる唯一の方法と考えられる、オンビーム型スピン交換光ポンピング(Spin-Exchanged Optical Pumping, SEOP)法に基づくHe-3ガスを用いた中性子偏極フィルター(以下、He-3偏極フィルターと称する)の開発を行う。熱外中性子を効率良く偏極させるためには、多量(約500cc)のHe-3ガスの核スピンを約80%程度以上の高い偏極度まで偏極させる必要があり、本研究では、その実現のために以下の項目の開発に取り組む。開発項目1:レーザー波長をSEOP法で用いるアルカリ金属の吸収幅(0.2nm)程度まで狭帯域化した、安定で且つ高出力(100W程度以上)の高強度小型レーザー光学系の開発。開発項目2:アルカリ金属の電子スピン偏極を、He-3核スピンの偏極へ効率良く移行させるために、特殊アルミシリケートガラスにHe-3ガスと共にルビジウムRbおよびカリウムKを最適な混合比で封入したセル(以下、ハイブリッドセルと称する)の開発本研究課題の1年目である2018年度は、以下を実施した。体積ブラッグ回折格子および半導体レーザーダイオード素子を用いて、開発項目1の高強度レーザーの開発を行い、所望の波長幅で、設計通り出力の有するレーザー発振部を開発した。また、開発項目2のセル開発の準備として、超高真空仕様の超高純度He-3ガスを封入装置の立上げを行い、所望の最高到達真空度(10-7Pa台)を達成した。上記の開発研究の成功により、当初の計画通り、2018年度の研究開発目標を達成することができた。
2: おおむね順調に進展している
計画段階から周到に調査を進めて、事前にしっかり計画を立てられたこと、また、研究を推進しながら、学会や研究会で他の研究者と有意義な議論を行い、得られた知見を研究活動に上手く活かせたことで、計画通りに研究を推進することが出来たと考えている。
研究の途中に於いても、発表できる成果については、積極的に学会や研究会等で発表し、他の研究者と議論を行うことで、研究の進め方について、常に客観的な評価を確認しながら、研究活動に当たることを心がけるようにする。
研究を進める過程で、消耗品の仕様の変更が発生したため、わずかに残額が発生した。本残額については、2019年度の成果最大化のために消耗品等の仕様の見直しを行い、使用する
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
波紋
巻: 28 ページ: 144-149
JPS Conference Proceeding
巻: 22 ページ: 011018(7)
10.7566