研究課題
本研究では、熱外中性子を効率良く偏極して用いるための、熱外中性子の偏極技術開発及びその実用化に関する研究として、熱外中性子を安定に且つ効率良く偏極させることができる唯一の方法であるスピン交換光ポンピング(Spin-Exchanged Optical Pumping, SEOP)法に基づくHe-3ガスを用いた中性子偏極フィルター(以下、He-3偏極フィルターと称する)の開発を目的としている。熱外中性子を効率良く偏極させるためには、多量([セルの単位体積]x[He-3ガス圧]/[中性子ビーム断面積]>25atm・cm)のHe-3ガスの核スピンを約80%程度以上の高い偏極度まで偏極させる必要がある。本研究課題の最終年度である2020年度は、2年度目までに開発した技術を用いて、He-3ガス量26 atm・cmのHe-3偏極フィルターを開発した。そして、中性子透過率測定により、He-3偏極フィルターのHe-3核スピン偏極度を評価した結果、He-3核スピン度が85%を達成していることを確認した。また、このHe-3偏極フィルターを用いて、中性子偏極度~50%の熱外中性子(中性子エネルギー0.5eV)の発生に成功した。さらに、このHe-3偏極フィルターを用いて、原子核の時間反転対象性の破れに関する実験を行い、物理データの取得に成功した。得られた実験結果については、学会発表及び論文発表を行った。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Proceedings of the 3rd J-PARC Symposium (J-PARC2019)
巻: 33 ページ: 011116-1~6
10.7566/JPSCP.33.011116
巻: 33 ページ: 011096-1~6
10.7566/JPSCP.33.011096
Journal of Applied Crystallography
巻: 54 ページ: 548~556
10.1107/S1600576721001643
Physical Review C
巻: 101 ページ: 064624-1~8
10.1103/PhysRevC.101.064624
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 977 ページ: 164301~164301
10.1016/j.nima.2020.164301
Journal of Surface Investigation: X-ray, Synchrotron and Neutron Techniques
巻: 14 ページ: S165~S168
10.1134/S1027451020070356