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2019 年度 実施状況報告書

中性子準弾性散乱によるナノ空間中の分子ダイナミクスに対する界面効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K11932
研究機関一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発

研究代表者

山田 武  一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 研究員 (80512318)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード中性子準弾性散乱
研究実績の概要

2019年度は主著として、これまで行ってきたリン脂質水和物の中性子準弾性散乱の結果をまとめて、1報のMini Review を執筆した。また、リン脂質水和物に塩を添加したときの水のダイナミクスを中性子準弾性散乱で調べた結果を一報出版した。この中で、添加したイオンの種類によって、リン脂質と協働的に運動する水の量が変化することを明らかにした。この結果は、ナノ空間中の壁の親水性とダイナミクスに相関があることを示す結果である。一方で、相互作用が小さい自由水などは、壁の性質(塩添加効果)をあまり受けていないことも明らかにした。この結果は、細孔中の水が界面の化学的な性質による影響を受けることを示すものである。
他にも、In-situで水蒸気圧力が制御可能な中性子準弾性散乱実験装置、高圧装置に関するProceedingsを2報投稿した。これらのうち、高圧装置に関してはAcceptとなった。In-situで水蒸気圧力が制御可能な装置に関する論文も、一度修正を行い、近日中にAcceptとなると期待され、来年度には成果として公開できるものと思われる。他にも、分子動力学に関連した論文を共著者として一報(T. Mizuguchi, et al. Molecular Simulation, 45, 1437 (2019))を出版できた。その中でも、界面の効果について議論を行うことができた。この成果は、自分の分子動力学計算の習熟に役立つものとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験についてはメソポーラスシリカ以外の系まで広く行うことができている。しかしながら、分子動力学計算については未だ習得中であり当初予定よりも遅れている。共用施設のスタッフとして、ユーザー支援、装置の整備に携わりながら実施しているためまとまった時間をとることが難しく、習熟に遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

引き続き実験結果をまとめるとともに、分子動力学計算も習熟し、これまで得られた結果をまとめて、論文として出版する。

次年度使用額が生じた理由

論文執筆に伴う英文校正比として予定していたが、執筆が遅くなり繰り越すことになった。2020年度に論文執筆を行い結果をその際に使用する予定でいる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Quasi-elastic neutron scattering study of the effects of metal cations on the hydration water between phospholipid bilayers2020

    • 著者名/発表者名
      Seto H.、Yamada T.
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 116 ページ: 133701~133701

    • DOI

      https://doi.org/10.1063/1.5144012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quasi-Elastic Neutron Scattering Studies on Hydration Water in Phospholipid Membranes2020

    • 著者名/発表者名
      Yamada Takeshi、Seto Hideki
    • 雑誌名

      Frontiers in Chemistry

      巻: 8 ページ: 8

    • DOI

      https://doi.org/10.3389/fchem.2020.00008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] リン脂質二分子膜中の水のダイナミクスへの塩添加効果2019

    • 著者名/発表者名
      山田 武、瀬戸秀紀
    • 学会等名
      第55回熱測定討論会
  • [学会発表] Commissioning for QENS experiments at pressures of up to 200MPa2019

    • 著者名/発表者名
      T. Yamada, H. Arima, T. Hattori
    • 学会等名
      the 3rd J-PARC symposium (J-PARC2019)
  • [学会発表] In situ Quasi Elastic Neutron Scattering of Nafion Membrane with Water Vapor Pressure Control System2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi YAMADA, Taiki TOMINAGA
    • 学会等名
      the 3rd J-PARC symposium (J-PARC2019)

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公開日: 2021-01-27  

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